憧れの祖母の手に誓う
「死ぬんじゃなくて、その最後の日まで、その人らしく生きる。
それを支えるのが、私の役目。」
NBSみんなの信州の特集でお伝えした、瀬角英樹医師の言葉です。
瀬角医師は、クリニックを運営しつつ在宅療養の患者を診る「訪問診療」をしています。
この言葉が深く染み入る現実が、私にも訪れました。
人の一生とは。生きるとは...。
深く考えさせられました。
私の最愛の「おばあ」へ。
産経新聞さんにコラムで掲載していただきました。
コロナ禍で、大切な人になかなか会えない方。
最愛の方を亡くされた方。
もどかしい思いをしている方もたくさんいらっしゃると思います。
みなさま、どうか良いお年をお迎えください!!
産経新聞コラム
「憧れの祖母の手に誓う」 大谷香奈絵
皆さんには、憧れの「手」がありますか?
私は「真っ黒に日焼けしゴツゴツしていて、生き様が表れている勲章のような...」。
まさに、私の祖母のような手に憧れています。
祖母は岡山の山奥で、何もない荒れ地を耕し、米や野菜を育て、
旅館の浴衣を縫う内職をしながら子育てをし、さらに、孫の私も育ててくれました。
寝ても覚めても聞こえてくるミシンの音は、脳裏から離れません。
働き詰めた指は、力を込めて雑草を抜いたり、布を縫ったりする形に骨が変形しています。
遊びに行くといつも、そのゴツゴツの手で大きな蒸し器を使って「蒜山(ひるぜん)おこわ」を作り、特大おにぎりにして、「がんばりんちぇえ!」と励ましてくれたものです。
そんな最愛の祖母が、先日、他界しました。
おばあ。おばあが「毎日香奈の顔が見たい」というから、私アナウンサーになったんよ。
おばあのように、飾り気のない深い愛情で人に接したい。
お年を召した方にも、小さな子供にも寄り添えるような、心ある「手」、「伝え手」になるからね。