■「先生がいないと困るんです」

安曇野市の患者の家に訪問診療(2024年10月)
瀬角医師:
「大変でしたね」
患者の妻(70代):
「大変で大変で」
瀬角医師:
「どんなだったの?」
安曇野市の80代の男性患者。脳挫傷で介護が必要になった夫を70代の妻が10年以上、支えています。
瀬角医師が開業した当初からの付き合いです。

患者の妻が用意していた神社の御札
患者の妻:
「夫は最期まで家で、って思ってるもんですからね、瀬角先生がいないと困るんです」
瀬角医師:
「頑張って治療して、帰ってくると」
「あら、どうもありがとうございます」
患者の妻が用意していたのは、瀬角医師の回復を願う神社の御札。
患者の妻:
「それはもうもう、本当に神様に祈る思いで。絶対帰ってきます、ってお願いしてきましたから」
12月には、がんを切除する手術が待っていました。
瀬角医師:
「本当に多くの方から応援メッセージを頂いて、がんサバイバーとしてどこまでやれるかというのも一つの挑戦」
瀬角医師:
「(患者に)じゃあね、また来ますね」
■がん発覚から4カ月

手術を受けるため入院
2024年12月16日、信州大学附属病院。
がんの発覚から4カ月。手術を受けるために入院した瀬角医師。
直前まで訪問診療を続けていましたが、手術が数日遅れたため、思わぬ時間を過ごすことができました。入院前に、妻と県外に旅行に出かけたのです。
瀬角医師:
「在宅の方を診なきゃいけないから県外に出られなかったし、苦労もかけたし。病気になって悪いことばかりじゃなくて、いいこともたっぷりあったな」

2024年12月27日、退院
翌日、手術は無事に終了。
瀬角医師:
「とりあえず、やることはやってもらって、今後、早く回復して、というところですね」
術後10日目の12月27日、退院―。
■痛みやつらさ 患者の思いに重ね

長女と次女の家族と初詣(2025年1月3日)
2025年1月3日、松本市内―。
新年、県外から帰省した長女の家族、次女の家族とにぎやかな初詣です。
ただ―。
瀬角医師:
「リハビリしよう、ということなんでしょうけど、きついですね」
食事が取れず、体力が低下。自身の痛みやつらさ、焦りを患者の思いに重ねていました。
瀬角医師:
「本当に大丈夫かなっていう不安と、必ず良くなるぞという気持ちとのせめぎあいを、(患者の)皆さんずっとやってるのかなって思って。そういう方たちが頑張ってこられたことに敬意を表しています」
正月休みが明けるとすぐに、訪問診療の患者が待っています。
病気の発覚後、初めて直接会った長女も医師。心配はありますが、父の思いを尊重します。
瀬角医師の長女:
「父は仕事をした方が、生きていけるのかなっていう気はしますね。本当に最後までやって、できるだけやってほしい」

