■一度途絶えた伝統を受け継ぐ難しさ

奈良県でのイベント(提供画像)
前橋亜季さん:
「2時間くらいかけて準備して、お仕事に」
実家で支度をする美代遥さん。一度途絶えた伝統を受け継ぐ難しさもあります。地元には、芸妓の先輩や師匠がいないのです。
前橋亜季さん:
「(化粧は)改良に改良を重ねて。誰も教えてくれないし、全部自己責任でやるってこんなにしんどいのかと」
身近で学ぶことができないため、京都や県外のイベントなどで芸妓の先輩たちと会う機会を大切にしてきました。
前橋亜季さん:
「本当はお姉さん(先輩)がいる所でいろいろ教えてもらいながらやりたいんですけど、(自分が)いなかったら、ここ(上諏訪芸妓)がもう本当に、本当になくなっちゃうんだって。ここにいるしかないんじゃないかって思うようになりました、いつの間にか」
■いつもそばで支えてきた母親

母親と前橋さん
お化粧で華やかな顔を作るポイントは、目尻に赤を入れる「目張り」。そして、口紅を引いて完成です。
前橋亜季さん:
「だいぶまともな顔が描けるようになってきたと思うんですけど」
一人で伝統をつなぐ美代遥さんを、母・かおりさんはそばで支えてきました。
母・かおりさん:
「度胸があるので、どんな場面でも、いつ振られても全然ひるまず。全然びくともしないね」
前橋亜季さん:
「一応、緊張はするんですけど」
母:
「するの?」
母:
「もう本人が突き進むのみなので、応援するしかないのでね」
■かっこいい、おちゃらけた部分を

4月26日、お座敷遊びを楽しめる食事会
懐石みくら 諏訪―。
この日は、初心者が気軽にお座敷遊びを楽しめる食事会です。
「美代遥」こと前橋亜季さん:
「きちんと芸事をして、お座敷ではきちんとかっこいい部分と、おもしろい、おちゃらけた部分と両方楽しんでいただけるような芸妓さんになりたいな」

お座敷遊びを楽しめる食事会
「美代遥」さん:
「せっかくですから、好きな異性のタイプをひとつ。私はシロクマみたいな人が好きです」
客:
「賢い人」
美代遥さん:
「賢い人、いる?」
客:
「(笑)」
上諏訪芸妓の復活に地元の人も期待を寄せています。
懐石みくら 諏訪・伊藤和弥代表:
「美代遥さんをお呼びして、楽しんでいただいて、料理も楽しんでいただいて、歴史をつくっていけたらな」
■諏訪の魅力を最大限に伝える

お座敷遊びを楽しめる食事会
2026年の大学卒業後は、「上諏訪芸妓」一本で勝負する予定の美代遥さん。諏訪地域をPRできる芸妓になろうと添乗員の資格を取りました。仲間を増やしたいと踊りの稽古の場も企画しています。
新たな時代の上諏訪芸妓へ。美代遥さんの挑戦は始まったばかりです。
「美代遥」こと・前橋亜季さん:
「もちろん諏訪の皆さまに愛していただきたいのが一番ですけど県外、海外からいらっしゃったお客さまにも、諏訪の魅力を最大限に伝えるつもりですので、ここぞっていう時に、一番に名前が挙がるような存在になれればいいな」