
六地蔵町伊勢講 講長・関茂男さん
91歳の関茂男さん。これまで5回、代参人を務めました。
六地蔵町伊勢講 講長・関茂男さん(91):
「責任感を感じながらね、みんなで仲良く六地蔵町がより発展するようにという気持ちをお願いしたね」
六地蔵町で続いてきたのは、地域が抱える問題も関係していると言います。
関茂男さん:
「水増し(水害)をしないようにっていうのは一番だね。長沼に住んでたら水害にならないようにっていうのはもう」
■水害で住民も「伊勢講」の記録も

台風19号災害(2019年10月、長野市長沼地区)
2019年10月の台風19号災害。
六地蔵町は千曲川の堤防が決壊した長野市長沼地区にあります。
昔から水害に悩まされ、この時も80世帯余りの全てが被災しました。

六地蔵町伊勢講 代参人・落合道雄さん
六地蔵町伊勢講 代参人・落合道雄さん:
「これがそうなんだよ、ここね。ここまで水が入ったと」
落合道雄さんの自宅は、床上1m近く浸水し、大規模半壊となりました。
保管していた「伊勢講」を記録した「講帳」も泥にまみれ、最も古い貴重な一冊は廃棄に。ただ、何とか一部は残りました。
落合道雄さん:
「やっぱりみんな苦労して行ったんだなということは感じるね。やっぱり一番は神頼み。昔から神様を頼るっていう、わらをも何とかってあるけどそういうことじゃないかな」
■被災1年後も恒例の祭りを実施

「十三夜」(2020年10月)
水害のない地域への願いは住民の生活に染み込んでいます。千曲川のすぐ脇に建つ「伊勢宮社」は昔から住民が大切にしてきた水難除けの神様です。
台風災害からちょうど1年後には恒例の祭り「十三夜」を行いました。
獅子保存会が獅子舞を奉納―。
当時はまだ避難生活を送る人もいましたが、復興に向けて弾みを付けようと実施しました。
六地蔵町・関正之さん(当時):
「きょう集まったことが全て結果であって、これが今の穂保区の六地蔵のまとまりかな。頼もしいですよね、みんな」
■被災から5年「伊勢講を復活」

六地蔵町伊勢講 代参人・落合道雄さん
被災から5年余り。ようやく住民の生活も落ち着きを取り戻してきた中、関茂男さんが住民たちに提案しました。
「今年こそ伊勢講を復活させよう」。
住民も同意しました。
六地蔵町伊勢講 講長・関茂男さん:
「信仰そのものっていうより、ひとつの中心にして、地域のコミュニケーションとかね、村の人たちが仲良く暮らしていければいいなと」