■「出会い」をきっかけに、第二の人生が変わる

2020年、夫婦で原村に
原村に夫婦で移住してきたのは2020年のことです。
橘田美千代園長:
「のんびり、花でも育てながらと思ってたので、もう保育関係の本とか、いろんなもの全部処分して来たので、何にも残ってないです」
悠々自適の生活を送るつもりでしたが、ある出会いが橘田さんの第二の人生を変えました。

おんぶしながら働く母親と出会う(提供:橘田さん)
近くの牧場で見かけた赤ちゃんをおんぶしながら働く女性。話を聞くと、村唯一の保育園は「生後10カ月未満の乳児を預けることができない」ということでした。
橘田美千代園長:
「最初はそうなんだっていう感じですけど、何回か聞くうちに、そうなんだじゃ済まなくなって、何とかしなくちゃいけないかなと勝手に思った訳です」
■移住者の仲間と保育園設立プロジェクト

プロジェクトの仲間たち
橘田さんは移住者の仲間に声を掛け、賛同者を募り、保育園設立のプロジェクトを立ち上げました。
友人・小林節子さん:
「(橘田さんが)保育園の園長さんなさったの、何にも知らないんですよ、前のお仕事。そしたら子供がいたら反応しちゃったのね、『私の出番』って。びっくりしました、それからのスピードの早いこと」
大阪から移住の元保育士・長井克子さん:
「私も絶対それは必要だなっていうのは思いました。(経験のある)福祉のことをしたいっていうのはずっと思ってたので嬉しいなって思いました」

2022年4月に保育園開設
橘田さんたちは乳児保育のニーズを把握、行政に理解と協力を求める一方、クラウドファンディングなどで1000万円の設立資金を集めました。「保育のためなら」と診療所だった建物を安く譲り受けることもでき、2022年4月、認可外保育園として出発。翌年、県の認可を得ました。
橘田美千代園長:
「(メンバーに)保育士魂に火がついたっていう言い方をされたの。自分としてはね、なんかやらなくちゃっていう使命と、やれるだろうという見通しはあったんですけど。本当に奇跡的なことだと思ってます」
3年目の今、園児は定員いっぱいの20人。村の保育園も現在未満児はいっぱいで、ニーズの高さは橘田さんたちの予想通りでした。