■挫折と新たな夢

インタビューに応じる床空さん
母・理恵さん:
「(小さいとき)御嶽海に憧れていて、御嶽海みたいな関取になりたいって言っていたけど、成長するとともに、自分が体が細くて」
身長が伸びず、次第に「体格の壁」を感じるようになりました。
床空さん:
「体が小さい分、大きい相手と相撲を取ったら吹っ飛ばされるとか、どうしたら体大きくなるかなとか、どうしたら身長が大きくなるかなとか、悔しいなと思っていて」
力士の道を進むのか悩む中で、小さい時の「ある記憶」を思い出しました。
床力さん:
「ここで僕が頭(髪結を)やっているときに声かけた」
同じ出羽海部屋の先輩床山「床力」さんとの出会いです。
床空さん:
「5歳のときに、家族で(犬山の)宿舎に来て、床力さんが頭やっているところを見て、床力さんに『将来は(相撲をやっていた)お兄ちゃんの髷を結ってやりなよ』って言われて、それで床山っていいなと思って」
■15歳で角界へ、親の不安

髷を結う床空さん
力士ではなく床山になりたい―。
決心した床空さんは2024年、出羽海部屋が木曽に合宿で訪れた際、床力さんに直談判しました。
床空さん:
「力士を支えるのがかっこいいなと思って、そっちのほうが魅力的だと。それで相撲を自分ではやらずに、相撲に関わる仕事をしようと思って、そのときに床山に(なりたい)ってなった」
床山に入門できるのは、19歳までで、半年間の研修期間も必要なため、中学卒業後、すぐに入門する決意をしました。
母・理恵さん:
「正直、16歳、15歳で社会に出てやっていけるのかなというのと、普通の世界じゃないので、私たちも知らないことばかりだから、何か困ったときにアドバイスとかもできないし、どうなっちゃうのかなっていう、親の方が不安でした」
そして6月、研修を終えて正式採用され、「床山」としてのスタートを切りました。
■床空さんの一日を追う

厨房で食事の準備
7月8日、愛知・犬山市の「名古屋場所前の合宿」。
朝7時。
床空さん:
「おはようございます」
本場所前とあって稽古にも力が入ります。
その頃、厨房では―。
床空さんは世話人の海龍さんと一緒に厨房で食事の準備です。
作るのは力士16人分と親方や来客などの分も。
床空さん:
「(料理はやっていた?)来る前は(家で)ちょっとだけやっていました」
世話人・海龍さん:
「(床空さんの料理の腕前は?)切る以外できないので、あとは『食べる専門』だもんな」
床空さん:
「はい」
9時ごろになると、「ちゃんこ番」の力士たちも加わり、厨房はにぎやかに。
この日のメインは「鶏すき鍋」です。

