
電動ファン内蔵の「空調服」を着る作業員
厚生労働省はこの6月から職場での熱中症対策を義務化しました。「早期発見」「重症化防止に向けた体制整備」「従業員への周知徹底」が柱となっています。すでに厳しい暑さとなる中、企業はどのような取り組みをしているのか取材しました。
■建設現場で作業員は「空調服」

マンション建設現場
長野県内も2日連続で猛暑日を記録するなど早くも厳しい暑さとなっています。
長野市吉田のマンション建設現場。真夏日を記録した6月17日、多くの作業員が着ていたのが「空調服」です。内蔵されたが風を送り込み汗を蒸発させて体温を下げます。
休憩所にはエアコンを設置。水分補給も欠かせません。もちろん「熱中症対策」です。
作業員(49):
「暑さについていけないですよね、これだけ急に暑くなると」
作業員(49):
「現場からもこういうもの(経口補水液)をもらったり、空調服も会社からもらい作業しています。(着ると)体感では5.6℃違う」
■職場での熱中症対策義務化

夏季の職場における熱中症災害(厚生労働省)
厚生労働省によりますと、2024年の職場での熱中症死傷者の人数は1257人で、統計が残る2005年以降最多となりました。このうち死亡者数は31人で、3年連続で30人を上回りました。
こうした状況を受け厚生労働省は6月から職場での熱中症対策を罰則付きで義務付けました。対象となるのは気温や湿度などで算出する「暑さ」指数が28以上か、気温が31度以上の環境で連続1時間以上、または1日4時間以上の実施が見込まれる作業です。
義務化の内容は
・熱中症の自覚症状がある人や恐れがある人を見つけた場合の連絡体制の整備
・体を冷やして医療機関に搬送するなど重症化を防ぐ内容や手順を定める
・対策の内容を労働者に周知する
ことが柱です。
■43項目の「熱中症対策計画書」

「熱中症対策計画書」
先ほどの現場を管理している長野市の建設会社「守谷商会」。「義務化の内容の柱」はもちろん「熱中症にならない対策」にも力を入れています。
5月、新たに策定した「熱中症対策計画書」。作業場に送風機はあるか、休憩所にクーラーはあるか、経口補水液は用意されているか、緊急用のAEDは設置されているか、など43項目に及び、実施できるものを各現場ごとに計画。これまで対策は主に現場に任せていましたが、それを明文化し会社が管理・確認できるようにしました。
守谷商会 安全環境管理室・小山正隆室長:
「一番は、今までやってきた対策をこの現場ではこういうことができるとピックアップできるような計画書の策定ができるよう指導しています」