YouTube X Instagram

学校給食の9割が「瓶牛乳」“最後の砦”信州でも…老舗メーカーが瓶から紙パックへ 瓶の値上がり、機械の老朽化 惜しむ声相次ぐ「さみしい」「ありがとう」 

瓶牛乳の製造・販売が終了し、紙パック牛乳へ

特集は「瓶牛乳」です。長野県内では学校給食で提供される牛乳の9割が瓶ですが、大北地域の給食で長く愛されてきた瓶牛乳の製造・販売が、この程惜しまれながら終了しました。メーカーは紙パックでも変わらぬ味を届けたいとしています。瓶から紙パックへ。メーカーの決断と切り替えの背景を取材しました。

■給食に最後の「瓶牛乳」 児童「かなしい」 

最後の瓶牛乳を飲む児童

7月22日、大町市の大町北小学校。

児童:
「いただきます」

夏休み前最後の給食です。児童たちがおいしそうに飲んでいる牛乳。「特別な1本」となりました。

1年生:
「かなしい!」
「かなしい。瓶がなくなるから」

大北地域の20校余りの給食で提供されてきた瓶牛乳はこの日で最後。休み明けから紙パックに変わるのです。

■創業102年・老舗メーカーの決断

松田乳業・松田邦正社長

瓶牛乳を製造してきたのは地元の松田乳業。

松田乳業・松田邦正社長:
「確かに寂しいことは寂しいんですけど、われわれとしても、(紙パック化は)非常に大きな投資。私もこの人生最後の投資かなと思ってやるんです」

松田社長はやむを得ない決断だったと振り返ります。

数頭の牛を飼って牛乳を売るようになったのが始まり

松田乳業は1922年・大正11年の創業。松田社長の祖父・正人さんが、数頭の牛を飼って牛乳を売るようになったのが始まりです。

■「富より健康」「まつだくん」 親しまれた瓶牛乳

男の子のキャラクター「まつだくん」のモデルは子どものころの松田社長

2代目・正一さんの時代に、給食の脱脂粉乳が牛乳に切り替わり、以来、給食用を一手に引き受けてきました。瓶牛乳の歴史は80年以上。

当初、瓶には何も書かれていませんでしたが、65年程前から印字された瓶になりました。「富より健康」のキャッチフレーズと、男の子のキャラクター「まつだくん」は地域住民にはおなじみのデザイン。「まつだくん」のモデルは子どものころの松田社長です。

松田乳業・松田邦正社長(2022年取材):
「私はこんなに当時、太ってなかったので、健康をイメージしてキャラクターを作ったんでしょうね」

■状況に変化…瓶の値上がり、機械の老朽化

製造ラインも老朽化

長く親しまれてきましたが、2023年、状況が変わりました。

松田乳業・松田邦正社長:
「弊社の場合、35円で使っていた瓶が75円になりまして、それが非常に理由として大きいなということ、製造ラインの老朽化、これがもう…」

少子化などで牛乳の需要が減る中、瓶の製造業者も減少。一部の業者に注文が集中し、2023年、倍以上に値上がりしたのです。

  • facebook
  • twitter
  • LINE
長野放送ニュース

あなたにおすすめ