
弁論の全国大会に出場した盲学校の男子生徒
特集は、弁論の全国大会に出場する盲学校の男子生徒です。晴れ舞台で語るのは「弱視」の自分を支えてくれた亡き祖母への思い。感謝と自立への誓いを込めたメッセージを披露します。
■小学校卒業までに10回以上の手術

学校で最後のリハーサル(9月3日)
弁論テーマ「おばあちゃんに感謝」・清水冴恭さん:
「僕は視覚に障がいがあります。生まれた時に緑内障と診断されました。ものが見えない中でも、家の近くの小学校に入学し、1キロぐらいの道のりを毎日友達と歩いて登下校していました」
松本盲学校高等部普通科3年の清水冴恭さん(17)。9月6日、秋田県で開かれた盲学校弁論大会の全国大会に出場しました。

インタビューに答える清水さん
9月3日、教職員を前に最後のリハーサルに臨みました。
松本盲学校 高等部3年・清水冴恭さん:
「やってきたことが積み重なっているなという状態なので、出来としては悪くないなと。声の抑揚とかに気を付けて調節して臨んでいけたら」

画像提供:清水さん
清水さんは物が見えにくくなる緑内障を抱えて生まれました。
母親の実家がある山梨の病院に通いつつ小学校卒業までに10回以上の手術を受けました。

清水冴恭さん
しかし、視力は回復せず現在、左目は人の動きなどが、右目は光や影の動きがわかる程度。
■亡き祖母を思い

祖母・冨士子さんと冴恭さん
弁論大会では、それを乗り越える力をくれた大切な人について話します。
弁論テーマ「おばあちゃんに感謝」・清水冴恭さん:
「僕の不安な気持ちを察して、祖母は『さっくん、背中に乗りぃ』と優しく声を掛けてくれました。祖母に背負われ、嬉しいような恥ずかしいような気持ちでした」
母方の祖母・伊藤冨士子さん。清水さんをいつも助けてくれました。
松本盲学校 高等部3年・清水冴恭さん:
「優しいおばあちゃんでした。いろいろやるに当たって、危ないからおばあちゃんやるよとか、周りの人に任せな、という感じで、心配してくれた」

弁論には成長する間の気持ちを盛り込む
成長するにつれ、祖母のやさしさを疎ましく感じることもー。
弁論の原稿にはそうした当時の気持ちも盛り込んでいます。
「おばあちゃんに感謝」・清水冴恭さん:
「『さっくんの目は大丈夫?また入院にならない?』といつも心配してくれました。僕はその気持ちがありがたい反面、毎回心配されて『いつもうるさいなあ』と内心うんざりする自分もいました」