
妻・玲子さんと共に隠れた岩に花を供える丹羽隆文さん
御嶽山噴火災害から9年。23日、慰霊登山が行われました。噴火後初めて、妻が亡くなった場所に入ることができた男性は「これで一緒に帰れる」と語りました。
■最愛の人の「最期の場所」に

御嶽山(7月23日)
青空が広がった23日の御嶽山。
噴火災害の遺族など15人が慰霊登山をしました。

災害後初めて「八丁ダルミ」への立ち入りが許される
23日は、災害後初めて「ある場所」への立ち入りが許されました。多くの犠牲者が出た「八丁ダルミ」です。
最愛の人の「最期の場所」にようやくー。
■死者58人、行方不明者5人

御嶽山噴火(2014年9月27日)
2014年9月27日に発生した御嶽山の噴火。
死者58人、行方不明者5人を出す戦後最悪の火山災害となりました。

次男とその婚約者を亡くす・所清和さん(2022年)
遺族らでつくる「山びこの会」は、毎年、慰霊登山を実施。
しかし「八丁ダルミ」には行けず、悔しい思いをしてきた遺族もいました。
所清和さん(2022年):
「8年たってもまだ亡くなった場所に行けないなんて、それが一番悔しいですね」
■「2人を連れて帰ります」

「八丁ダルミ」は7月末、規制解除へ
王滝村側の「王滝頂上」と木曽町側の「剣ケ峰」の間の「八丁ダルミ」。火口にも近いことから、規制が続いてきましたが避難シェルター設置などの対策が進み、7月末、ようやく規制解除へ。

次男とその婚約者を亡くす・所清和さん
一足先に遺族らの立ち入りが認められました。
所清和さん:
「やっと9年後に迎えに来られました。2人を連れて帰ります」
愛知県一宮市の所清和さん(61)と妻の喜代美さん(61)。

所さんの次男の祐樹さん(当時26)と婚約者の由紀さん(当時24)は、八丁ダルミで亡くなる
次男の祐樹さん(当時26)と婚約者の由紀さん(当時24)は、八丁ダルミで亡くなりました。
初めて2人の最期の場所へ。
■「一緒に来られなかったのが…」

2人が履いていた登山靴とひまわりを備える
2人が履いていた登山靴と、明るい性格だった由紀さんにちなんだひまわりを供えました。
この9年の間に由紀さんの父親が亡くなり、悔しさもにじませました。

次男とその婚約者を亡くす・所清和さん
次男とその婚約者を亡くす・所清和さん:
「9年というのは、普段の生活では短かったんですけど、思えば長かったですね。長かったから(由紀さんの)お父さんと一緒に来られなかったというのがつらいです」