
老犬ホームに預けられたティム
「犬も飼い主も幸せに」。そう願って運営されている老犬ホームが長野県安曇野市にあります。先日、そこで一匹の老犬が息を引きとりました。ホームでの日々と飼い主と愛犬の「別れ」を取材しました。
■悩んだ末、愛犬を老犬ホームに

佐藤江利子さん
「ティムちゃん」
新潟県糸魚川市の佐藤江利子さん。7月、19年ともに暮らした愛犬を亡くしました。

安曇野市の老犬ホーム「ドッグステイハウスDOG'S」
佐藤さんの愛犬「ティム」。最後の8カ月は安曇野市の「ドッグステイハウスDOG'S」で過ごしました。
元教員で保護ボランティアをしていた宮脇史さんが、2022年4月に立ち上げた老犬ホームです。
佐藤さんは2022年11月に預けてから月1回、片道2時間をかけて会いに通いました。

左:ドッグステイハウスDOG'S・宮脇さん 右:佐藤さん
5月―。
佐藤江利子さん:
「ティムちゃん、来たよ」
「ティム」はしたいことや、欲しいものがあると鳴いて伝えます。
佐藤江利子さん:
「歩きたいの?」

認知症による夜鳴き(佐藤さん提供)
「ティム」を預けることになったのも、その鳴き声が理由でした。
認知症による夜鳴き。状態は悪化する一方でした。
佐藤江利子さん(当時):
「薬を飲ませても長くて4時間、短くて1時間しか寝てくれず、抱っこして押し入れに入ったり、車に入ったり。いつまで続くのかと思うと」
悩んだ末、佐藤さんは長期の預かりもしている宮脇さんのホームを頼ることに。
■「ティム」が幸せなら

夜は犬舎、昼はドッグランで
「ティム」は防音壁などを備えた犬舎に迎えられました。
夜は犬舎、昼はドッグラン。そうした生活が、1カ月ほど続くとー。
ドッグステイハウスDOG'S・宮脇史オーナー(当時):
「(夜鳴きが)少なくなったと思います。何ででしょうね。昼間、他の犬とワイワイガヤガヤしてるので、疲れて寝るのか、安心して寝るのか」

佐藤さんは最期まで預けることに
宮脇さんは「一度、家に戻っては」と提案しましたが、佐藤さんは最期まで預けることにしました。
「ここにいる方が幸せだ」と思ったからです。
佐藤江利子さん(当時):
「(ここにいれば)好きな時に好きなように歩ける。『ティム』が幸せなら、手元にいなくてもいい」