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“世界一の牛乳”でアイスクリーム 「家業の酪農守る」両親支える35歳女性 キッチンカーで販売

牛の飼料は高騰

29歳で離婚し、息子と共に実家で暮らすようになった熊谷さん。改めて家業と向き合うようになった。

厳しさを増す酪農の経営環境。折からの高齢化や後継者不足に加え、近年はウクライナ侵攻や円安で輸入飼料が3割以上も高騰。

県内でも多くの酪農家が廃業している

消費も低迷し安い加工品用への出荷が増えた分、収入が減少している。

熊谷さんの家は、子牛を売った収入などでしのいできたが県内では2022年度、1割近くに上る22軒が廃業した。

■「家業を守りたい」

実家の酪農を守りたいと考える熊谷さん

2021年、熊谷さんは勤めていたカフェを辞め、酪農を手伝いたいと両親に申し出た。

熊谷鮎美さん:
「両親が大変な思いをしてつないできているという感じが、身に染みてわかる数年。このまま終わってほしくないという、当たり前だった光景がなくなるのが寂しいし、悲しい。娘のエゴもあるんですけど」

父・敏彦さんは、自分の代で酪農を終わらせるつもりだった。

父・敏彦さん(62):
「こんな仕事はもう、息子(熊谷さんの弟)が就職するような頃は、むろんその前からやらせる気はなかったし、どっちにしても俺の代で終わりだなと思ったら、(鮎美さんが)おかしなこと始めて」

長男の渓くん(8)と母親の鮎美さん

熊谷さんは「希望」を見い出していた。

それはー。

熊谷鮎美さん:
「ここの牛乳はおいしい。私にとっては世界で一番うまい牛乳だと思っています」

毎日飲んでいる牛乳

長男・渓くん(8):
「ちゃんちゃかちゃーん」

熊谷鮎美さん:
「わが家の牛乳です」

搾りたてを煮沸して毎日飲む牛乳。

「やっぱり、うまい!」

熊谷鮎美さん:
「やっぱりうまい」

長男・渓くん(8):
「学校の牛乳は水らしい(水っぽい)、こっちは牛乳らしい」

■“世界一の牛乳”でアイスクリームを

父と娘

やがて、熊谷さんは牛乳のおいしさをアイスクリームにして広め、家業を守りたいと両親に切り出した。

父・敏彦さん(62):
「やめたらいいのにと、それが最初の印象。あんまりやりてえようなんで、やればやって失敗したって、俺は知らねって。好きなようにしやがれ、だな」

熊谷鮎美さん:
「否定も肯定もせずにいてくれるのは、一番安心できるし、ありがたいこと」

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長野放送ニュース

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