
「緊急銃猟」の訓練
クマの出没が相次ぐ中、長野県大町市で11月4日、住宅街などに出没した場合に、市町村の判断で銃を使用した捕獲をする「緊急銃猟」の訓練が行われました。市は、より安全に実施するため、独自のアプリも活用します。
大町市のホテルの中庭に居座る偽物のクマ。2階の窓からは、猟銃が見えます。
これは、大町市と猟友会などが行った「緊急銃猟」の訓練です。
全国で相次ぐクマによる人身被害。県内でも10件15人が被害に遭い、このうち1人が死亡しています。
また、市街地や住宅地など人里への出没も相次いでいます。
全国で被害が後を絶たない中、2025年9月から始まったのが「緊急銃猟」です。
住宅街など人の生活圏にクマが出没した場合に、安全が確保されているなど条件を満たせば、市町村の判断で銃を使った捕獲ができるというものです。
県内ではまだ実施はありませんが、国内では、これまでに秋田県や宮城県などで10件実施されました。
11月4日の訓練には、市の職員や猟友会員、警察官など約30人が参加。クマの発見から発砲までの流れを確認しました。
訓練は、ホテルの中庭に成獣のクマ1頭が居座っているとの想定です。
警察が周辺の道路を通行止めにし、指揮本部では、市の担当者が、関係機関と連絡を取り合い状況を確認します。
訓練:
「こちら配置に就きました。ターゲットが壁の角に動かずにいる状態」
本部の画面に表示されていたのは、人員の配置や周辺への連絡など実施に向けた4つのチェック項目です。
市が、より安全な実施に向けてシステム会社と共同で開発したアプリです。
4項目全てがそろうと―。
市担当者:
「牛越市長に要請します。安全確認全て、4要件完了しました。これから緊急銃猟をお願いしたい」
「確認しました。ただ今より緊急銃猟を開始したいと思います」
そして、市長の判断のもと猟友会員が発砲しました。
大北地区猟友会平支部・西沢清支部長:
「発砲していいよと言われて撃つので、その点は安心。安全確認がすごく時間かかってましたよね。実際問題、そんなにうまくいくか不安はある」
市内では、ここ最近も大町温泉郷などでクマの出没が続いていて、市は、緊急銃猟の実施も見据えながら対応していきたいとしています。
大町市 農林水産課課長・西沢勲さん:
「一番は安全への配慮。住民の避難ですとか、安全確保が非常に重要。(訓練を)万が一、緊急銃猟を行わなければならないときの対応に生かしたい」

