
人面付土器
長野市内にある弥生時代の遺跡の発掘調査で、今年8月、人の顔の形をした土器の破片が見つかりました。顔つき全体がわかるものは珍しいということです。
長野市の柳原総合市民センターの駐車場で、今年5月から進められている発掘調査。
深さ1.7メートルほどの場所に広がっていたのは、今から2000年ほど前の弥生時代中期から後期にかけての集落跡です。
竪穴建物跡が20棟以上見つかった他、川が流れていた跡や、墓の跡も複数見つかっています。
11月3日に、市民向けの現地説明会が開かれました。
学芸員の説明:
「礫床木棺墓という墓になります。弥生時代中期の長野県で発祥したと考えられています」
この遺跡で、今年8月、ある貴重なものが見つかりました。
それがこちら。大きな鼻と耳たぶが特徴的な人の顔。弥生時代中期に作られた人面付土器と呼ばれる土器のかけらです。
市内ではこれまでも人面付土器のかけらが見つかったことはありますが、顔つき全体がわかるものは珍しいということです。
長野市 埋蔵文化財センター学芸員・宮坂岳さん:
「容器としてじゃなくて、辟邪といってどちらかというと埴輪に近いような、おまじない的な意味が深かったのかなと思っています」
柳原の遺跡の住居跡からは、大量の土器のかけらが見つかっています。
学芸員の説明:
「もしかしたら、1個の住居の中に土器を捨てたり、お祭りをしたりという祭祀があったのかもしれません」
参加者:
「その時にいた人たちが、どんな生活をしていたのかと考えると、ロマンですよね」
学芸員の説明:
「人面付土器が出たのは、真ん中のSB14の住居になります。その住居の中からうつぶせの状態で見つかりました」
佐久地域や群馬県内でも似た特徴の土器が見つかっていて、地域間交流があったことが推測されるということです。
11月3日は、参加者向けに特別に披露しました。
参加者:
「こういう形で見るのは初めてです」
「実際の遺跡見て、出土したものを見ていくと、この距離でしか見られないものだったり、とても貴重な場だなと思います」
長野市 埋蔵文化財センター学芸員・宮坂岳さん:
「自分たちの生活とのつながりは薄いかもしれないけど、ロマンというか自分の住んでいる土地にはこういった歴史があるということを知っていただけると良いかなと思います」
市内の遺跡から出土した貴重な土器のかけら。市埋蔵文化財センターでは、展示についても検討しているということです。

