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駅前のラーメン店「若大将」が閉店 45年の歴史に幕 82歳店主の体力の衰えなどが理由 別の企業が引き継ぎ、名物メニューを残して再オープンへ

営業前に藤井さんに感謝を伝えにきた20年通う常連客

閉店4日前のこの日は―。

藤井さん:
「ありがとう」

客:
「泣いちゃう」

20年通う常連客の女性。忙しくなる前にと営業前に藤井さんに感謝を伝えに来ました。

20年通う常連客:
「まさか閉まってしまうとは思わなくて」

藤井さん:
「根本にはお客さまあって、この店が45年間やってこられた。全てがお客さまの、『ありがとう、うまかったよ』の言葉で苦労も全部吹き飛んでしまう」

鍋を振る藤井さん

9月30日、営業最終日。 

客:
「お疲れさま。大変です」

いよいよ営業最終日。開店してすぐに店内は客で埋まりました。

「若大将」の最後の料理を味わう―。

藤井さんも懸命に鍋を振りつつ、手が空けば―。

藤井さん:
「ありがと、ありがと」

常連客:
「きょうはお疲れさまって言いたくて。寂しいね」
「『お疲れさまでした。おいしかったです』もう本当にその言葉でしょうか」

記念撮影

こちらの親子も常連。父親は30年以上通ったそうです。

30年通う常連客:
「味もそうなんですけど、親父さんの笑顔を見に来る。親父さんとともに、このラーメンを食べるのが一番おいしい。とりあえずは、お疲れさまでしたと」

記念撮影や握手を交わす客も―。

インタビューに応じる藤井さん

そして午後2時前、食材を使い切り最後の営業が終わりました。

藤井さん:
「疲れた、十分に動いた。(やり切りました?)やりすぎた(笑)」

藤井さん:
「(若大将は)自分のふるさとというか、心のふるさとというか、そんなところもある。やり遂げた満足感もないわけではないし、寂しさもあるし、両方だね。本当はもっとお客さまと接していたいと思ったけど、ここでさようならするのも人生の区切り」

「若大将」45年の歴史に幕―。

「事業承継」の成約式(10月1日)

閉店から1日経った10月1日。藤井さんと妻・ミチ子さんは松本信用金庫へ。実は「若大将」を市内の別の企業が引き継ぐことが決まったのです。

「事業承継」の成約式が行われました。引き継ぐのは、松本市内で3つの飲食店を経営する「GANSO」です。

GANSO 代表取締役・清宮寛久さん:
「地域に愛されてきた店がなくなってしまうのは、私自身も寂しいと思いますし、松本市民の方も寂しい思いをされるのではないか。若大将さんの良さは引き継ぎつつ、さらに愛されるニュー若大将として、頑張って営業していきたい」

2025年12月から「ニュー若大将」として再オープンする予定です。人気だった「山賊焼ラーメン」などは引き継ぎ、新たなメニューも用意するということです。

成約式では藤井さんの妻・ミチ子さんから、ねぎらいの言葉も。

藤井さんの妻・ミチ子さん:
「『寂しいね、残念だね』と言って泣いてしまうお客さまもたくさんいらして、家では見たことないお父さんの人柄を見ることができ、驚きました。皆さんにこんなにも愛されていたのですね。本当に本当に長い間、ご苦労さまでした」

藤井國廣さん:
「幸せです。『若大将』を継いでくれるという一言だけで大満足。少しでも皆さんに愛される店、新しいお客さんをどんどん引き入れていただけるような温かいお店になってほしいな」

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