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「悲嘆に暮れた時期も」すい臓がん判明…“看取り”支える医師(64)にリンパ節への転移と再発の可能性 自身や患者の「命」と向き合い診療続ける日々「自分の想いを最期まで生ききる」

「いのちカフェ」でギターを弾く

最後は瀬角医師が中島みゆきの「誕生」をギターの弾き語り。副作用で手足のしびれが出始めていて、いつまで弾けるか分からないと、本当は演奏の機会をうかがっていました。

「いのちカフェ」はこの後も毎月、続けています。

■「最期まで自分らしく」諦めないで

公民館で講演(2025年7月)

7月、松本市・城北公民館―。

瀬角医師:
「全身倦怠感とか強く出ているので、ちょっとつらいんですけどね」

それでも、開業以来、交流のある公民館の声がけで講演を行いました。

在宅医療は地域の看護や介護、さまざまな事業所の連携で支えられていると説明。そして、「最期まで自分らしく生きることを諦めないでほしい」と伝えました。

瀬角医師:
「そういう方たちの力を全部合わせて、最後に顔を出すのが訪問診療医。ぼくらは緩和ケアを施しているわけじゃなくて、おうちで生きていくのを支えているだけなんです」

■2人の娘と親子で訪問診療

訪問診療

8月12日―。

「すい臓がん」発覚から1年。クリニックには夏休みで帰省中の瀬角医師の長女(38)がいました。長女は、県外の病院で働く産婦人科医です。

瀬角医師:
「自分がやってること、ちょっとでも知っててほしいなって」

クリニックの薬剤師である次女と、親子3人で訪問診療です。

孫たち:
「行ってらっしゃ~い。がんばってー!」

瀬角医師の長女:
「はーい、がんばるよ~」

訪問したのは、脳の悪性腫瘍を患う女性。病院での治療を尽くし、2年前から本人の希望で自宅へ。望んでいた家族との生活で、食欲もリハビリへの意欲も湧きました。

瀬角医師:
「ごはんは、どうですか?」

患者:
「ごはんは、おいしいです」

瀬角医師:
「夏バテしてないかな?」

患者:
「大丈夫です」

瀬角医師:
「おお、すばらしい」

瀬角医師は父として、同じ医師として、長女に在宅医療の力を感じてほしいと考えていました。

瀬角医師の長女:
「どういう姿勢で接してお話を聞いて関わっていくかは、父から学ばせてもらっている」

患者:
「うちにいられることは助かりますよね」

患者の夫:
「先生がうちに来てくれて、病院で何かやってくれるっていう形では、こういう回復はなかったんじゃないかな。寝たきりだったからね」

患者:
「(リハビリも頑張っている?)ええ、なにくそー!と思って。先生も頑張ってるもん、ねえ」

瀬角医師:
「頑張りまーす、これから」

瀬角医師も患者の頑張りに励まされています。

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