
「いのちカフェ」でギターを弾く
最後は瀬角医師が中島みゆきの「誕生」をギターの弾き語り。副作用で手足のしびれが出始めていて、いつまで弾けるか分からないと、本当は演奏の機会をうかがっていました。
「いのちカフェ」はこの後も毎月、続けています。
■「最期まで自分らしく」諦めないで

公民館で講演(2025年7月)
7月、松本市・城北公民館―。
瀬角医師:
「全身倦怠感とか強く出ているので、ちょっとつらいんですけどね」
それでも、開業以来、交流のある公民館の声がけで講演を行いました。
在宅医療は地域の看護や介護、さまざまな事業所の連携で支えられていると説明。そして、「最期まで自分らしく生きることを諦めないでほしい」と伝えました。
瀬角医師:
「そういう方たちの力を全部合わせて、最後に顔を出すのが訪問診療医。ぼくらは緩和ケアを施しているわけじゃなくて、おうちで生きていくのを支えているだけなんです」
■2人の娘と親子で訪問診療

訪問診療
8月12日―。
「すい臓がん」発覚から1年。クリニックには夏休みで帰省中の瀬角医師の長女(38)がいました。長女は、県外の病院で働く産婦人科医です。
瀬角医師:
「自分がやってること、ちょっとでも知っててほしいなって」
クリニックの薬剤師である次女と、親子3人で訪問診療です。
孫たち:
「行ってらっしゃ~い。がんばってー!」
瀬角医師の長女:
「はーい、がんばるよ~」
訪問したのは、脳の悪性腫瘍を患う女性。病院での治療を尽くし、2年前から本人の希望で自宅へ。望んでいた家族との生活で、食欲もリハビリへの意欲も湧きました。
瀬角医師:
「ごはんは、どうですか?」
患者:
「ごはんは、おいしいです」
瀬角医師:
「夏バテしてないかな?」
患者:
「大丈夫です」
瀬角医師:
「おお、すばらしい」
瀬角医師は父として、同じ医師として、長女に在宅医療の力を感じてほしいと考えていました。
瀬角医師の長女:
「どういう姿勢で接してお話を聞いて関わっていくかは、父から学ばせてもらっている」
患者:
「うちにいられることは助かりますよね」
患者の夫:
「先生がうちに来てくれて、病院で何かやってくれるっていう形では、こういう回復はなかったんじゃないかな。寝たきりだったからね」
患者:
「(リハビリも頑張っている?)ええ、なにくそー!と思って。先生も頑張ってるもん、ねえ」
瀬角医師:
「頑張りまーす、これから」
瀬角医師も患者の頑張りに励まされています。

