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「悲嘆に暮れた時期も」すい臓がん判明…“看取り”支える医師(64)にリンパ節への転移と再発の可能性 自身や患者の「命」と向き合い診療続ける日々「自分の想いを最期まで生ききる」

■「どう、死に向かっていくのか」

強い副作用のある抗がん剤治療に移行

しかし、3月「再発・転移の可能性がある」と診断されたことで、治療の負担は一段と大きいものになりました。

瀬角医師(2025年3月24日):
「きょうの朝、シャワー浴びて髪の毛拭いてたら、タオルにそれなりについて、きたぜー、みたいな感じ」

脱毛や倦怠感など、より強い副作用のある抗がん剤治療に移行しました。

看護師:
「大丈夫ですか?痛みありますか?」

この頃から深く考えるようになったのが「どう生きるか」。抗がん剤の点滴を受けながら、こうつぶやきました。

瀬角医師:
「どういうふうに死に向かっていくのか。やっぱり想像できちゃいながらも想像したくないし。壊れていく自分が、どういうふうになっちゃって、最後には自分で鎮静剤とか打ちながら暮らすのかな…。でも、それはその時だねって。今は治療頑張って、仕事頑張って、やれることをやって、伝えたいことを伝えて」

■地域の在宅医療をより良くしたい

「いのちカフェ」の参加者にコーヒーを淹れる

4月のある日。クリニックはいつもと違う雰囲気です。

瀬角医師が手にしていたのは、アコースティックギター。「インテリアの1つ」といいますが―

瀬角医師:
「どうしてもって言われたら、『いや仕方ないかな~』って、演奏しようかと」

しばらくすると―。

参加者:
「完全復活、おめでとうございます」
「先生、しばらく~」

この日は、瀬角医師が計画してきた「いのちカフェ」の日。訪問診療で連携する看護師や薬剤師などの仲間に声を掛けていました。

クリニックを「カフェ風」にして菓子やフルーツを用意。オーダーを受けた瀬角医師が豆を挽き、サイフォン式でコーヒーを淹れます。

訪問看護師:
「おいしいです」

リラックスした雰囲気で参加者同士の話がはずみます。

「訪問診療」では異なる事業所やスタッフ同士が交流する機会はほとんどありません。初対面や顔見知り程度だったスタッフ同士の会話は、仕事の悩みや愚痴、課題の共有などで深まります。

訪問看護師:
「(採用で)どれだけ教育体制が整えられるか課題で、なかなか進まなくて」
「私たち単独で、結構孤独ですよね。これでいいのかな?というのも相談しながらやりたい」

瀬角医師:
「皆さんと付き合っていると、孤独なんだろうなとか、いろんな思いを抱えて苦しそうだなって感じるわけですよ」

地域の在宅医療をより良くしたい―。

「いのちカフェ」は、連携を深めるため以前から構想していたものでした。

訪問看護師:
「苦しみやら、生きがいやら、感動やら、抱えている人たちがいっぱいお話しできましたので、とってもいい時間を先生がつくってくれましたね」
「なんでも話せる、泣いたり、笑ったりできる場所で気にかけてくださっているから、ありがたい」

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