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【戦後80年】“遺書”に「自由の勝利は明白」敗戦予見し特攻へ…22歳で戦死の上原良司の思いたどる高校生「SNSが人々の分断あおる危険も、二度と戦争を繰り返さない」#戦争の記憶

良司のおい 上原幸一さん(77)

安曇野市穂高有明良司の実家

良司のおい 上原幸一さん:
「何でもかんでもあると言えばあるんです」

三兄弟の遺品は妹・清子さんの長男・上原幸一さん(77)が管理しています。子どもの頃のノートや課題まで―。

幸一さん:
「普通はこんなもの捨てますよね。本人たちがいないわけですから、(親が)せめて物でも残しておきたいと思ったんでしょうね」

戦前の上原家(上原幸一氏所蔵)

三兄弟の母・よ志江さんは、孫の幸一さんに、毎日のように戦争の話をしたといいます。

幸一さん:
「(上原家にとって)戦後はものすごくつらい時代でしたよ。やっぱり家の人間にとっては、『所感』(の内容)というよりも、やっぱり死んでしまったということの方が大事でして、人間死んでしまってるともう、取り返しつきませんから」

高校生らが幸一さんを訪問

8月9日、幸一さんのもとを「わだつみのこえ80年の会」の高校生らが訪れました。

幸一さんが高校生に説明:
「これ、航空手帳といいまして。全部合わせて100時間くらい」

幸一さん:
「本当にこういうことが、おとぎ話でなくてあったということを実感してもらうのはものすごくありがたいと思ってますね。過去のことではなくて、今でも起こり得る可能性もありますし。戦争というのは『起こればつらいよ』ということだけは、言えますよね」

「わだつみのこえ80年の会」

松本深志高校 望月美里さんが会のメンバーに発表:
「最期まで思想と個人の自由を手放さなかった非常に意思の強い人物と考えます」

高校生は、良司が残したものを後世につなげたいと、8月23日に開く「集い」で、発表する予定です。

松本深志高校の望月美里さんは、日頃使っている「SNS」に、人々の分断をあおる危険を感じるようになったと言います。

望月さんが会のメンバーに発表:
「(SNSは)自分の意見が唯一無二の正解だと錯覚してしまう危険性があると感じます。相手の意見を尊重せず、自分の意見を一方的に押し付ける、この行為こそ戦争の要因となり得るのではないでしょうか」

望月さん:
「上原さんは相手の意見をちゃんと聞いて、考えているんですよね、遺書や所感を読んでいると。そういう人間になりたいなと思いました」

高校生がそれぞれ思いや活動を発表

松本県ヶ丘高校の滝沢葵さんは、同世代に戦時中の地域を身近に感じてもらおうと写真をAIでカラー化する活動をしています。

滝沢さん:
「この先も、戦争を二度と繰り返さないためにも継承していくのが僕達の役割なんじゃないかな」

上原良司(上原幸一氏所蔵)

家族を愛し、自由を愛した「普通の青年」上原良司が遺した言葉は戦後80年の今も多くの人の心に響いています。

「明日は自由主義者が一人この世から去っていきます」

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