突然亡くなった父の店を引き継いだ息子の伊丹利徳さん
東日本大震災を機に14年前 、福島から長野県茅野市に移転した菓子店。2025年2月に社長が突然亡くなり、休業を余儀なくされました。県外で修業を積んでいた長男が後を継ぎ、6月6日営業を再開。「思いを引き継ぎながらも自分の菓子を届けたい」と意気込んでいます。
■長野・茅野市の人気菓子店
ショーケースに並ぶさまざまなスイーツ
イチゴが乗ったショートケーキやクリームいっぱいのシュークリーム。ショーケースに並ぶさまざまなスイーツ。
茅野市の菓子店「信州大黒屋」です。
2025年3月から休業していましたが、6月6日、営業を再開。早速、待ち望んでいた多くの客が訪れました。
客：
「（食べるのが）楽しみです。最高にうれしい。災害に遭って来たときからのファンなので」
客：
「とても楽しみにしていました。やっと大黒屋オープンしてよかった」
レジの横に飾られた前の社長・伊丹由貴夫さんの遺影
レジの横に飾られた写真。休業の理由は前の社長・伊丹由貴夫さん（享年64）の突然の死去。長男・利徳さん（28）が店を引き継ぎ再開させたのです。
信州大黒屋・伊丹利徳さん：
「スタートすることができて安心している。『待ってたよ』と皆さん言ってくれてすごくうれしかった」
■東日本大震災を機に福島から移転
伊丹由貴夫さん（2011年）
「大黒屋」は1960年、福島県須賀川市で開業しました。2代目の伊丹由貴夫さんが洋菓子の扱いも始め、地元から愛される人気店となります。
しかし、2011年3月11日東日本大震災が発生。
店の場所は福島第一原発から約60キロ。由貴夫さんは家族を連れて信州に拠点を移すことを決めました。
伊丹由貴夫さん（2011年）：
「安心安全ということを考えながら菓子作りをしてきたので、やっていくにあたって閉塞感というか、だんだん閉ざれていく感じがして」
店頭に立つ伊丹さん夫妻（2011年取材）
スタッフ：
「10時ですので開店です。いらっしゃいませー」
震災から4カ月後の2011年7月、茅野市で新たにオープンしたのが「信州大黒屋」。知人がいた縁で茅野市を訪れた際、信州の食材や、自然豊かな環境が気に入り、再出発の地に選びました。
伊丹由貴夫さん（2011年）：
「新しい素材との出会いや発見をしながら、もっと良いお菓子作りを目指して、この地域の人に喜んでもらえるものであるならば、本当にすごく幸せ」
妻の香代さんも店を支えました。
妻・香代さん：
「とにかく一歩ずつ前に進まなきゃいけないという気持ちが大きいです」
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