■結婚し日本へ 3人の子にも恵まれる

ブランコやうんてい、ハンモックはモーリスさんの手作り
自由理さんの任期が終わった翌年の2016年に2人は結婚。山口県出身の自由理さんですが、家族が住んでいて自分も暮らしていた伊那市へ移住することを決めました。
妻・自由理さん:
「自分のコミュニティーなり、友人たちがいるここに彼と来ることで、彼もきっと人とつながりやすいだろうなという確信があったので」
伊那市に移住後、3人の子どもにも恵まれました。今は広い庭がある築150年の古民家を改装し生活しています。
ベナンでの生活に近づけようと休日は畑仕事に精を出し、子どもと遊ぶ時間を大切にしています。
ブランコやうんてい、ハンモック。すべてモーリスさんの手作りです。
長女・母菜花ちゃん:
「うれしいし、楽しい。自由に遊んだり、いろんなことができる」
■材木加工の職場では「いいやつ」

製材所で働くモーリスさん
一方、モーリスさんはこの9年間、地域に溶け込もうと努力してきました。
モーリスさんが今、勤めているのが、市内の「有賀製材所」。主に住宅用の材木加工の仕事を行っています。
イェリマ・モーリスさん:
「例えば虫食ってる部分はダメです、それが一番。たまに見えないもので、それお客さんに出すと怒られちゃう」
ベナンでも建築系の仕事に就いていたこともあり、4年前、就職しました。木材運搬などの力仕事なども率先して行っています。

有賀製材所・有賀真人社長(左)
モーリスさんの仕事ぶりは社長も評価しています。
有賀製材所・有賀真人社長:
「力もあって何でもできるので、製材所としては助かってます。人柄が穏やかでいいやつです。みんなに愛されてます」
有賀製材所も抱える人手不足。現在の従業員は10人で、37歳のモーリスさんが最年少です。
有賀製材所・有賀真人社長:
「日本が、これからは外国の人たちの助けがないと厳しい時代になってくると思うので、責任ある立場になってほしい思いもありますし」
■「期待の星」消防団にも所属

モーリスさんを見送る長女・母菜花ちゃん
午後6時、仕事から帰りましたが、まだ1日は終わりません。消防団にも所属していて、この日は夜警に当たります。
長女・母菜花ちゃん:
「消防に行く感じがするな、かっこいい」
「いってらっしゃーい、頑張ってー」
2017年から消防団員を務めるモーリスさん。自分を迎え入れてくれた地域への恩返しです。
イェリマ・モーリスさん:
「ちょうど人がいないもので、みんな年寄りだから、分団はだんだん人が足りない。消防団に入らないと火事になっても消すことはできないから、手伝うこともできないし。だけど知り合いだもん、みんな。それだけ困ってるなら、村の仕事ならやります、と心に決まって」