
閉店セレモニー(3月31日)
特集は最後の一日です。松本駅前の井上百貨店(長野県松本市)が3月31日夜、45年の歴史に幕を閉じました。閉店を惜しむ客。そして、長年勤めた従業員は寂しさと感謝の一日を過ごしました。
■井上・駅前本店が45年の歴史に幕

井上百貨店
3月31日夜、井上・駅前本店で閉店セレモニー。多くの客が最後の時を見守りました。

感謝の言葉を述べる井上・井上裕社長
井上・井上裕社長:
「長い間、井上百貨店松本駅前本店、応援していただきまして、ありがとうございます」
井上駅前本店45年の歴史に幕を下ろしました。
■呉服店として140年前に創業

駅前本店にできた客の行列(1979年)
明治18年・1885年に呉服店として創業した井上。1956年、松本市大手に「六九店」を構え、5年後から「百貨店」として営業を始めました。
現在の駅前本店に移ったのは昭和54年・1979年。開店の日は多くの客でにぎわい、期待の高さが伺えます。
しかし近年は、大型ショッピングモールの出店やネットショッピングが普及。建物の老朽化もあり、井上は駅前本店を閉店し、山形村のアイシティ21に統合することを決めました。
■40年以上勤務の店員も「さみしい」

営業最終日
そして迎えた31日の営業最終日。
開店前に約400人が並ぶ―。
安曇野市から:
「懐かしさと感謝と名残惜しさを込めて来ました」
松本市内から・親子連れ:
「母と父とよくみんなで松本(市街地)に来れば寄っていたので」
小学生:
「(閉店と聞いて?)さみしい」

40年以上勤務・山田みよ子さん
こちらは婦人服売り場。開店準備をしているのは、山田みよ子さん(79)。
40年以上にわたって、駅前本店に勤めてきました。
40年以上勤務・山田みよ子さん:
「さみしいです。皆さんにありがとうございましたと感謝と二通りを言いたいです。(最後は)やっぱり笑顔を絶やさない、感謝」
■客「亡き母との思い出の場所」

従業員も感謝の気持ちで出迎え
午前10時開店―。
井上からは感謝を込めて「紅白まんじゅう」が手渡されました。
従業員も感謝の気持ちで出迎えー。
開店と同時に訪れたこちらの姉妹。亡くなった母との思い出の場所です。
妹(60代):
「生きていればきっと一緒に行きたいわや…って言ったと思うんだけど」
姉(70代):
「ここに来ると母と一緒に歩いたのを思い出します、涙出ちゃう。隅から隅まで見て、かみしめたい」
それぞれの思い出と共に―。