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「毛玉だらけで糞尿まみれ」の保護ネコが柔らかい表情に “寄付金”で救われる命 ネコの過剰繁殖、多頭飼育崩壊…「殺処分ゼロ」への挑戦 長野市が動物愛護の「ふるさと納税」再開

しんけん動物病院・松木信賢獣医師

その数は年間およそ2500匹。

しんけん動物病院・松木信賢獣医師:
「4~5歳はいってると思います。家で飼育するネコだとこんなに歯石がたまることはない」

この日は7匹を手術。全て飼い主のいない猫でした。手術の目的は「殺処分」をなくすことです。



長野市のイヌ・ネコの殺処分

市はボランティアの力も借りて「譲渡」に力を入れ、2018年度以降、「不要な殺処分」をゼロに抑えています。

■ネコの命を守る 去勢・不妊手術

移動手術車で手術をする松木獣医師

取り組みのもう一つの柱が、保護される猫自体を減らす去勢・不妊手術です。

しんけん動物病院・松木信賢獣医師:
「地域におけるネコの過剰繁殖が問題になっていて、多頭飼育崩壊であったり、糞尿、環境被害の相談が非常に多かった。そこに関して(獣医師として)お手伝いしたい」

手術に要する時間はオスが15分、メスが30分ほど。20匹以上行う日もあります。

松木信賢獣医師:
「(子ネコが)野生動物に食べられたり、ご飯が食べられなくて餓死したり、大きくなっても行動範囲が広がって交通事故に遭って死んでしまったり。“かわいそうな命”というのは、過剰に生まれてしまったネコたちがやむなく処分されてしまう、蛇口を閉める作業を本格化させたい」

手術が済んだ印に耳カット

呼吸や腹の動きをみながら慎重かつ手際よく。傷口を最小限にオスは精巣、メスは子宮と卵巣を摘出します。

最後に手術が済んだ印に。

しんけん動物病院・松木信賢獣医師:
「(ネコは)耳カットをして、元の場所に戻っていく。地域の人は手術されているのがわかる」

■プロジェクトへの思い

保護された当時の「ふじこ」

成果も出始めました。2024年度のネコの収容数は12月末までに109匹。2023年度の同じ時期より33匹減り、子ネコについては半減に近くなっています。

人懐っこい「ふじこ(仮名)」(推定2歳メス)。2024年11月、片目が飛び出た状態で保護されました。感染症の炎症がひどく、目を摘出しました。

右の眼球を摘出した「ふじこ」

病気の他、交通事故に遭う猫も多く、市内では2023年度、保護した数よりも多い224匹が路上で命を落としました。

そこで市は去勢・不妊手術を受けるネコをさらに増やそうと2024年度から手術への助成を増やしました。これまでの一律6000円からオスは1万円。メスは1万3000円に。

ネコを持ち込む住民が負担していた分がなくなり、2024年度の手術件数は200件増え1100件になる見込みです。

しんけん動物病院・松木信賢獣医師:
「(問題解決へ)舵をしっかり切られたので、ぜひ、成し遂げてもらいたい。命を守るプロジェクトを完遂させてもらいたいという強い思いでいます」

■今後の課題 理解と協力を

猫舎で「ふじこ」と遊ぶ関口課長補佐

これまでの予算は2018年度から4年間、募った寄付金を充ててきましたが、それも2025年度で終わり。

2026年度以降も取り組みを続けるため、市は中断していた「ふるさと納税」の受け付けを、年末に復活させました。

長野市動物愛護センター・関口徳之課長補佐:
「長野市は長く“殺処分ゼロ”を目指して取り組んでいます。今後もそれを維持するため協力いただければと思っています」

寄付金で救われる命。

市は理解と協力を呼びかけています。

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