■自分たちの手で酪農を

同じ岩手の牧場に就職
お互いの第一印象は?
妻・茜さん:
「田舎にいなさそうな人だなと思いました。そんなに土とか触りたくなさそうな人かな(笑)」
林直秀さん:
「牧場の子にはあまり見えなかった(笑)」
同じ横浜出身で、気が合った2人は2019年に結婚。やがて「自分たちの手で酪農をやりたい」と考えるようになります。
妻・茜さん:
「製品作りをしていた時は製品しか見られない、せっかく近くに牛がいるのに全然触れない。分業みたいになってるのが寂しい、それだけをずっとやっていくのは大変だなと思って」
林直秀さん:
「そこで見た景色を自分たちでもつくりたいよねと。自分たちなりの規模感ややり方、製品のラインナップでやってみたいと思って独立を決意しました」
■「山地酪農」をスタート

平谷村
移住先は平谷村に決定。移住フェアで知ったのがきっかけですが、決め手は、村が広大な土地を10年間、無料で貸し出してくれたことです。

山林や荒廃した農地を2人で整備
土地は山林や荒廃した農地。
草刈りや電気柵の設置に1年ほどかかりました。
林直秀さん:
「いまだに大変ですが、スタートは特に大変だった」

ジャージー牛
2021年7月、群馬の牧場からメス牛4頭を入れ2人の「山地酪農」がスタートしました。山地酪農に取り組む酪農家は少なく国内では10カ所程度といわれています。
林直秀さん:
「山の自然な傾斜を利用して山に生える自然な植生を利用しながら牛を飼育する方法。牛が草を食べて排泄物出して、それが肥料になり、土に返って、また新しい草が生える循環が回るのが1ヘクタール2頭といわれてます」
飼育するのはジャージー牛。ミルクは乳脂肪分が高く甘味が強いのが特徴です。
■転落、逃げ出し…牛を全て失う

現在、牛の数は7頭
その後、子牛が生まれて8頭になった牧場。しかしアクシデントが次々とー。
牧場内での転落や牧場から逃げ出して車にひかれるなどのトラブルで、一時、全ての牛を失いました。
2人はスキー場や温泉でアルバイトをして生計を立ててきました。
妻・茜さん:
「計画ではトントン行くつもりだったけど予想外のこともたくさんあったし、簡単じゃないなと思った」
その後、新たに栃木や岩手の牧場から牛を入れ、現在は子牛も含め7頭に。