
漆を塗る前
元インテリアコーディネーター・土屋美稀さん(25):
「これが本命の小皿、こっちは時間があったので木彫りのクマを作って、かわいい感じになりました」
インテリアコーディネーターから職人の道を進もうとしている中野市出身の土屋美稀さん(25)。木の性質による「乗り」の違いに苦戦していました。

「クマです(笑)」
元インテリアコーディネーター・土屋美稀さん:
「このむらはどうしようもないですよね、顔だけ黒くなりました」
職人歴60年・宮原正岳さん:
「こっちが縦目だもん、こっちは横目。木口は(漆を)吸いやすい、吸って黒くなる」
「これはネコ?」
土屋美稀さん:
「クマです(笑)」
■アメリカ出身の男性も職人目指し

アメリカ・フロリダ州出身 アズース・エランさん
アメリカ出身のエランさん(37)。日本人の妻と結婚したのを機に愛知県へ。憧れの職人を目指しています。
アメリカ・フロリダ州出身 アズース・エランさん:
「(漆塗りは)アメリカでは聞いたことないですね。(伝統工芸を学んでみて?)そのために来ました。めちゃくちゃ楽しいです」

「室」で乾かす
初回の授業を終えてー
職人歴60年・宮原正岳さん:
「今年の生徒さんも非常に意欲的で上手にうまく早くやったんじゃないかな。きっと仕上がりもいいと思うよ」
塗りが終わったら温度と湿度が管理された「室」で乾かします。
■完成品は?評価は?

土屋美稀さん作「小皿と木彫りのクマ」
10日後ー
あれから塗り重ねると5回。先日、完成品の講評会が開かれました。
土屋美稀さん作「小皿と木彫りのクマ」
アズース・エランさん作「カエデのシェルフ」

宮田正彦さんの作品
作品の説明と授業の感想を発表。
訓練生最年長・宮田正彦さん(65):
「これが今回メインで塗りましたプレートで、この上でご飯を食べようと思っています。鉋が下手なので、自動鉋をやってペーパー(やすり)でごまかしたら、仕上げ鉋をしていないと、むらが出るなと勉強になりました」

アズース・エランさん作「カエデのシェルフ」
全ての作品を見た北原さん。完成度が高いと評価した後、漆塗りの「奥深さ」も伝えました。
職人歴38年・北原進さん:
「拭き漆は木を見せる仕事。木の材料や木目を生かす仕事という言い方もできるし、言い方を変えればやった仕事が見えてしまう。面白いところでもあり、難しいところ」
■伝統を受け継ぐ次世代に期待

訓練生に漆塗りを教える北原進さん(左)
後継者不足に悩む木曽漆器。北原さんたちは伝統を受け継ぐ次世代に期待しています。
職人歴38年・北原進さん:
「もし今回の生徒で1人でも漆の魅力を感じて、漆を自分がやる仕事に取り入れて、選択肢の1つに入れて、1人でも多く漆の良さを伝えていってくれる人が出てきたらいいなと」
技専の授業はあと半年。訓練生はこれから1年間の総まとめとなる3月の展示・販売会「技能祭」に向けて個人製作に打ち込みます。