■仕事の醍醐味、厳しさを知る

「漆塗り」の授業
入校から半年。伝統工芸「漆塗り」の授業が始まりました。
結果の良し悪しがはっきりとわかる漆塗り。手仕事の醍醐味・厳しさを知ってもらうため、全ての訓練生が学びます。

指導する北原さん
職人歴38年・北原進さん:
「漆を手早く、一回目が一番むらになりやすい」
講師はこの道38年の漆職人・北原進さん(57)と職人歴60年、「信州の名工」にも選ばれた宮原正岳さん(76)です。

職人歴60年・宮原正岳さん
職人歴60年・宮原正岳さん:
「勘と経験と、職人は工夫ですので、そこをわかっていただければ」
旧楢川村・現在の塩尻市平沢地区に作業場や店を構える2人。忙しい仕事の合間を縫って「技専」で教えるのには職人側の思惑もあります。
職人歴60年・宮原正岳さん:
「今、仕事の漆屋さんも後継者不足っていうことがあって(訓練生の)中で漆を使って仕事にしてくれたら、そんなにいいことないよね」
■高齢化、後継者不足

資料:木曽漆器
丈夫で、使い込むほど味わいが増す木曽の漆器。400年以上の歴史があります。
しかし、取り巻く環境は年々厳しさを増しています。

漆器組合の人数(木曽漆器工業協同組合調べ)
「漆器組合」の人数は1989年は220人でしたが2023年は半分以下の102人に。当時79億円だった生産額も2023年度は18億円に。
背景にあるのは「職人の高齢化」と「後継者不足」です。
職人歴60年・宮原正岳さん:
「どの伝統産業でもそうだろうと思うけども、なかなかね。後継者はもっときれいで、給料が良くて、もっと現代的な仕事に就きたいんじゃないかね」
「木工」を学ぶ人たちにその魅力を伝えたいと宮原さんは6年前、北原さんは4年前から講師を務めています。
■職人の卵たちが漆塗りに挑戦

木のプレートに漆を塗る宮田さん
授業で教えるのは「拭き漆」。漆を塗っては薄い布「寒冷紗(かんれいしゃ)」で拭き取っていき、木目を生かして仕上げる基本的な技法です。
職人歴38年・北原進さん:
「最初は(ヘラを)縦気味、だんだん寝かせていく感じ」
木のプレートに塗るのは2023年、定年退職して入校した、最年長の宮田正彦さん(65)。
訓練生最年長・宮田正彦さん(65):
「新しい発見ばかりで面白い、知らないことを教えてもらえるので」