■「神様が与えてくれた」ジオラマ

入院生活を送っていた頃(提供:一ツ柳さん)
以降、次々と難しいテーマに挑んできましたが、熱中したのには理由がありました。
実は、始める前、交通事故で大けがをして2年半、入院生活を送っていたのです。
ジオラマ制作者・一ツ柳外吏春さん:
「これでダイビングもできないし、沢登りもできないし、苦痛で悩んでいた時があったので、(ジオラマ制作は)神様が与えてくれたものだと思いますよ」

30作目となる「リオのカーニバル」
そんな父を、長男・敬行さんはー
長男・敬行さん:
「(当初は)何やってるんだろうなと思ったんですけど、1人で根気よくやっていて、とても素晴らしいと思います」
■8年前から30作目を制作中

30作目「リオのカーニバル」の一部
現在、集大成と位置付ける30作目の制作が進行中です。
ジオラマ制作者・一ツ柳外吏春さん:
「最後の作品で30作目さ。『リオのカーニバル』にしようと」
取り掛かったのは2016年。
途中、母の介護や自身のがん治療で中断していましたが、最近、再開しました。
今、作っているのは海岸沿いのショッピングモール。

ブティックを細かく再現
3階建てに重ねてしまえばほとんどは見えなくなりますがー。
記者:
「手を抜こうとは思わない?」
一ツ柳外吏春さん:
「思わないね。やっぱり見る人は、こうやって見ちゃう」
■作品「まつり」の見どころはー

架空の海辺の街を想定した「まつり」(2007年制作)
「超老芸術展」には6つの作品を出品。自信作は2007年制作の「まつり」です。
舞台は架空の海辺の街。祭りも想像を膨らませました。

「まつり」山車の上には神職やクジラも…
龍をあしらった大きな山車。
神職が先頭に立っています。
山車の上にはー
ジオラマ制作者・一ツ柳外吏春さん:
「クジラです、哺乳類で一番大きいと言ったらクジラ。こういうの(山車)があればいいなと思って」

「まつり」先に一杯やっている役員たち
みこしのてっぺんは鳳凰ではなく『ミノカサゴ』。
にぎわう屋台に、楽しそうな家族連れ。取材クルーも。
役員の一部はこっそり宴会を始めています。

「まつり」一ツ柳さんと誰かの姿も
堤防にいる2人は、もしやー
ジオラマ制作者・一ツ柳外吏春さん:
「ぼくですよ。ぼくと、どこの彼女かな?女房とは限りませんよ(笑)」
■75歳でも衰えぬ制作意欲

ジオラマ制作者・一ツ柳外吏春さん(75)
けがや病を経てものを作る喜びを人一倍感じてきた一ツ柳さん。制作意欲は75歳になっても衰えていません。
ジオラマ制作者・一ツ柳外吏春さん(75):
「自分でやりたいことをできるってことは、最高だと思ってね。やる気になれば人間、誰でもできますよ、何でも。問題はやる気があるかないかだよ。それだけです」