
オープン当初から豊富な品ぞろえ
家庭用品から、職人が使う専門的な器具まで常時2万点以上の商品を並べていました。
その豊富な品ぞろえから、東京の道具問屋街「かっぱ橋」になぞらえ、「長野の小かっぱ橋」とも呼ばれ、親しまれてきました。

接客する吉沢正彦社長
しかしー。
吉沢金物店・吉沢正彦社長:
「長野オリンピックを境に、徐々に売り上げも落ちてきて」
店は大型ホームセンターの出店やインターネット販売の普及の影響を受けるようになりました。
追い打ちをかけたのは昨今の物価高。吉沢さんは苦渋の決断を強いられました。
吉沢金物店・吉沢正彦社長:
「消費者からすると、食べ物とかが一番になって、金物とかは傷んでもまだ買い替えようとはそこまで手が回らなかったと思う。ぜひ続けてくれって声はすごく多くて、申し訳ないなという気持ちになります」

吉沢さんの弟・昭彦さん
店は、11月11日から「閉店セール」中で連日、にぎわっています。
その中で特に忙しさを増しているのが…
店の奥で包丁を研ぐ吉沢さんの弟・昭彦さん(56)。一緒に店を支えてきました。

弟の昭彦さん
弟・昭彦さん:
「16歳から包丁の勉強して、ずっと研いでいるので、40年やっています。親父がつくった会社をつぶすというか閉店、廃業させるというのは本当に申し訳ないと思っていますけど、仕方がない」

駆け込みで依頼が殺到する包丁研ぎ(※現在受付終了)
店は、包丁や鎌の研ぎ直しも受け入れ客の信頼を得てきました。(※現在受付終了)
閉店が決まると「駆け込み」で依頼が殺到。大忙しです。
弟・昭彦さん:
「想定外で、初日に200本くらい来ちゃって、2日目、3日目も何十本と来て、ご覧の通り。たぶん400,500本来ていますよ、農具も含めて。本当に想定外で、ありがたいですよ」

長男の卓弥さん
レジで接客するのは長男の卓弥さん(31)。
市内の建設会社で勤めていますが、連日のにぎわいに手伝いにきました。
長男・卓弥さん:
「帰ってくる場所がなくなっちゃうのは、本当に寂しい気持ちでいっぱいです。(以前)店を継ぐ話にはなったんですけど、そのころから、他で働いた方がいいよって親には言われていたので、やっぱり厳しいのかなって正直思っていた」