
老舗和紙店が「焼き芋」を販売
特集は老舗の意外な挑戦です。創業100年を超える長野県松本市の和紙店が「焼き芋」の販売を始めました。コロナ禍による落ち込みを挽回しつつ、新たな客層に和紙をアピールするのが狙いです。
■売り上げは一時、以前の2割程度に…

「すごく甘くて、とろとろだった」
ホカホカの焼き芋。中はしっとり、蜜たっぷりです。
女の子:
「あまーい。すごく甘くて、とろとろだった」

焼き芋店「十三里(とざり)」
販売しているのは小さな焼き芋店「十三里(とざり)」。店は老舗和紙店「紙館 島勇」の敷地の奥にあります。
島勇の3代目・伊藤慶さん(54)が5月から準備し、9月下旬に本格オープンさせたいわば「系列店」です。

島勇3代目・十三里・伊藤慶さん
島勇3代目・十三里・伊藤慶さん:
「とろっとした、ねっとりしたもので、持つとじゅわっと蜜が出る。こんなに焼き芋好きな人が多いんだというくらい、いろんな人に声かけていただいて」

創業者の祖父・雄一郎さん(画像提供:伊藤さん)
「経営の多角化」はよくある話ですが、なぜ「焼き芋」販売にたどり着いたのでしょうか。
島勇は大正10年に伊藤さんの祖父・雄一郎さんが創業。
父・勲さんが継いで店を大きくしました。

伊藤さんは「一閑張り」にも取り組む
3代目の伊藤さんは、籠や漆器に和紙を張る伝統工芸「一閑張り」にも精力的に取り組んできました。
しかし、コロナ禍で状況は一変します。
島勇3代目・十三里・伊藤慶さん:
「趣味の世界で専門的なジャンルなので、(人の)お金の使い方がだいぶ変わってしまった」

和紙
売り上げは一時、以前の2割程度に。今は8割程にまで戻しつつありますが、新たな客を取り込まない限り挽回は難しい状況となっていました。
そこでー。
島勇3代目・十三里・伊藤慶さん:
「100人来て、1人でも2人でも(島勇に)寄って行ってくれれば御の字だと思って」
■なぜ「焼き芋」に?

朝7時から準備
伊藤さんは「島勇」に立ち寄る人を増やそうと新たな店を出すことを決意します。
数ある食べ物の中で選んだのは「焼き芋」でした。
食材も作業もシンプルで本業に支障が出ないと判断。加えて、江戸時代から親しまれてきた食べ物であることが決め手になったと言います。
島勇3代目・十三里・伊藤慶さん:
「(島勇)は日本の文化を体験できる店としてやっているので、なるべくつながりがあるような食べ物で『焼き芋』」