
全国的にも珍しい藍染め・あんず染めの鹿革の製品
特集はオシャレな革製品です。駆除したシカの有効利用を進めようと、革職人と染物職人がタッグを組み、全国的にも珍しい藍染め・あんず染めの鹿革の製品ができました。
■駆除したシカの革を使い

鮮やかな模様の藍染めレザー
鮮やかな青で繊細なデザインを施した財布に、暖かみのあるオレンジ色の模様が入ったバッグやスリッパ。
どれもある特別な革を使っています。手掛けているのは千曲市の工房「Groover Leather(グルーバーレザー)」。

Groover Leather・徳永直孝代表
ミシンに向かうのは代表の徳永直考さん(46)。扱っているのは「ジビエレザー」と呼ぶ鹿革です。
Groover Leather・徳永直孝代表:
「長野県内で駆除されたシカの革です。すごく柔らかくて軽いという素材です」

稲を食べる二ホンジカ(2016年撮影)
2022年度、ニホンジカによる県内の農林業被害は2億4000万円余りで、2021年度の捕獲頭数は3万2千頭にのぼりました。そのうちの2割が食肉用となりましたが、皮はほとんどが廃棄されました。

代表の徳永さん
徳永さんがこれまで使ってきたのは、ニュージーランド産の鹿革。ジビエレザーを使うようになったのは2年前、長野市若穂の地域おこし協力隊員から「駆除したシカの革を使ってほしい」と、なめされた革を受け取ってからです。
Groover Leather・徳永直孝代表:
「ぱっと見たときからかなり完成度が高い革だったので、これは運命だなと思って、これを僕が販売を乗せないといけないものだなと、勝手に感じてスタートさせた感じです」
■“付加価値” 染物職人とタッグ

藍染めの浜染工房(1911(明治44)年創業)
すぐに製品化に乗り出しましたが、輸入した革の製品よりもどうしても価格が高いため、徳永さんは「付加価値」を高める必要があると考えました。
そこで頼ったのが、100年以上の歴史を持つ松本市の工房の三代目、浜完治さん(74)。

三代目の浜完治さん(74)。
日本で数人という「藍の型染め」職人です。

型紙を乗せて「糊」を塗る
革を染めてもらうことにしました。まず革に型紙を置いて、もち米や米ぬかで作った「糊(のり)」を塗ります。