
水につけると糊の部分だけが落ちる
藍の染液入りの甕(かめ)に浸すとみるみる染め上がってー。
糊は水につけるとはがれる―。

出来上がった藍染めジビエレザー
乾燥させると糊の部分の色が抜け、美しい模様に仕上がります。
浜染工房・浜完治さん:
「私もきれ(布)ばかり染めていたから、何か他の物も染めたいと思ってたんです。まさかシカになるとは思ってなかったんだけど、なかなか難しくてそれが」
■1年以上の試行錯誤を経て

通常の倍の藍を入れた染料を開発
表面がツルツルな革は染まりづらい上、糊が落ちて模様が崩れてしまうのが課題でした。
そこで浜さんは、糊の水分を減らして強度を高め、通常の倍の藍を入れた染料を開発。1年以上の試行錯誤を経て、二人の職人の技が冴えた藍染の革製品ができました。

天溝がま口型染め 各点4万5000円(税抜き)
美しい模様の財布にー

鹿角ショルダーバッグ 8万8000円(税抜き)
吸い込まれそうな深い色合いのショルダーバッグ。

浜染工房・浜完治さん(左)とGroover Leather・徳永直孝代表(右)
浜染工房・浜完治さん:
「今は探検家みたいな気持ちでやっています。徳永さんの革にいろいろ教えてもらって私も成長していきたいと思っています」
Groover Leather・徳永直孝代表:
「このプロフェッショナルと、このプロフェッショナルという部分で合わされば、より良いものができると思うので、長野県ってこれだけ底力があるんだというところを見せていきたい」
■“あんず染め”作家にも依頼

「あんず染め」の作家・窪田孟恒さん
藍染だけではありません。
アンズの木で布を染め絵絣(えがすり)などを作る「あんず染め」の作家・窪田孟恒さん(82)。

窪田孟恒さんのあんず染めの作品
徳永さんは暖かみのある窪田さんの作品に心を打たれ、4月、革の染色を依頼しました。
「あんず染め」作家・窪田孟恒さん(82)
「びっくりしました。僕もやったことないのにどうしようと思いましたけど、興味もあるしやらせていただこうと、喜んで」

アンズの木で作った染液
「あんず染め」作家・窪田孟恒さん(82):
「アンズの実の色みたいだよね、ちょっと黄色みと、ほっぺたの赤みのような」
アンズの木の廃材を煮て濾(こ)した染液です。

革を巾着のように輪ゴムでとめる
徳永さんも一緒に作業ー。

「しぼり染め」の技術を活用
模様を出すためアンズの種を入れて革を巾着のように輪ゴムでとめます。「しぼり染め」の技術です。