■つらい、苦しい…世界との差を痛感

スイスでの合宿
もう一つはスイスでの合宿で、各国の猛者たちとの差を思い知らされたこと。
小林あか里選手(2022年12月取材):
「今までの自分の走りがまったく歯が立たなくて、すごくそこは苦しかった」
母・可奈子さん(2022年12月取材):
「すごくつらかったと思う。『死にたい』としか言わなかったし、私も苦しかった」
■「もっと、楽しめばいいのに」

自宅にて
立ち直ることができたのは整体師の何気ない一言でした。
小林あか里選手(2022年12月取材):
「『もっと自転車楽しめばいいのに』っていふうに言われて、自転車をレースに出るためのものだなと思ってしまっていたなと。自転車ってこんなに楽しかったんだと気づいて、国際大会でも優勝できて、私は自転車が本当に楽しめているんだなと気付きました」
■母と娘の関係も改善

母のバイクを追って走り込み(2022年12月)
その後、少しぎくしゃくしていた母と娘の関係も改善していきました。
小林あか里選手(2022年12月取材):
「ずっとこの母親、嫌だなと心のどこかで思っていて、でも最近になってオリンピアンの母で良かったなと思うし」
母との二人三脚で練習に励み、実力を伸ばしていったあか里さん。
2022年、アンダー23のワールドカップで10位、アジア選手権では優勝と目標のオリンピック出場へ一歩一歩、近づいていきました。
■母の言葉「好きに走りなよ」

トレーニングに励む小林あか里選手(8月17日/安曇野市)
8月17日―。
オリンピックを翌年に控えた大事な今シーズン。前半のワールドカップは、40位から50位台となかなか結果が出ませんでした。
7月の日本選手権では短距離種目で優勝を逃し、2位に。
小林あか里選手:
「一番はメンタルの部分で信じ切れていない、どこかで自分を信じていない自分がいた。自分がここまでやってきたことが全く成績につながっていないというのが悔しくて、どうにかしてそれを変えないと、この先も同じだなって」

母と娘
悩むあか里さんに可奈子さんはー。
母・可奈子さん:
「(五輪が近づき)目の前の自分が見えなくなるというか、何を一つ一つクリアしていかないといけないというのが飛んでしまって、ここ(五輪出場)の目標しか見えなくなってしまって。『とにかく全部忘れよう』って。『好きに走りなよ』って言って、自分の何がいけなかったんだろうねって、すごく素直に聞いてくれて」