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ウクライナ育ちロシア国籍 通訳男性の苦悩と希望 2つのルーツ…「侵攻に罪悪感」「いずれ家族と故郷へ」

ニコライさんの母・オリガ・キリロワさん(76)

ニコライさんの母 オリガ・キリロワさん(76):
「ウクライナとロシアは長い間協力し、交流していて強いつながりがあったから、戦争はなかなか信じがたい出来事だった。すぐ終わって元の生活にみんな戻れるだろうと信じたけど長引いてて、今はどう戦争を受け止めればいいかわからない」



ニコライさんの母・オリガ・キリロワさん(右)とめい・ダリア・ジュラベルさん(16)(左)

いや応なく、戦禍に巻き込まれていく市民。オリガさんにはモスクワに住む妹がいる。電話すると、妹はウクライナ侵攻を「ロシア系の住民を救うためだ」と正当化した。それ以来、オリガさんは連絡を取っていない。

ニコライさんのおい(ダリアさんの兄)

戦闘が長引く中、ダリアさんの兄・つまりニコライさんのおいは、ロシアが占拠するザポリージャ原発の近くで大砲を扱う部隊に入り戦っている。息子の身を案じ、母親(ニコライさんの妹)は、ドニプロに残っている。

めいのダリア・ジュラベルさん(16):
「母とは毎日連絡をとっていて、兄とは彼から連絡があるときは電話で話します。早く会いたいです」

母のオリガ・キリロワさん(76):
「とても2人が心配。毎日起きてすぐニュース見て向こうの状況を確認しています。原発近くの前線で戦っている孫が特に心配」

ロシア国籍 避難民にはしばらく打ち明けられず

2008年に来日した頃のニコライさん(提供写真)

2つの国にルーツを持つニコライさん。双方の兵士が大勢、戦死している状況に胸を痛めている。

ニコライ・キリロフさん(50):
「ウクライナの方はウクライナを守っている。ロシアの方はもっとひどい。何のために人を殺さなければとか、何のために自分が殺されなければとか、わからない人が圧倒的に多い」

自身の「国籍」に悩まされることもあった。

ニコライ・キリロフさん(50):
「精神的な重みを感じていて、同じロシア人がひどいことを続けていて、させられていてショックだし、子どもの頃、育ったからウクライナの人にも申し訳ないと思う時がある」

ウクライナの避難家族、禅道会の小沢首席師範(奥)、ニコライさん(提供写真)

「禅道会」の手引きでウクライナから避難してきた家族。ニコライさんも禅道会の会員で、通訳を買って出た。

当初は迷いがあったという。

ニコライ・キリロフさん(50):
「やっとロシアの脅威から逃げて、出迎えに来たのがロシア人ならどう思うか。どういう反応をするか、空港に出た時点まではずっと不安だった」

しばらくロシア国籍だと言えずにいたが、打ち明けたところ皆、ニコライさんの気持ちを理解し、受け入れてくれたという。

ニコライ・キリロフさん(50):
「(小沢)先生がこの人は大丈夫ですよという雰囲気を出してくれたので。そこで一安心した」

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