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ウクライナ育ちロシア国籍 通訳男性の苦悩と希望 2つのルーツ…「侵攻に罪悪感」「いずれ家族と故郷へ」

ニコライ・キリロフさん(50)

特集はロシアで生まれ、ウクライナで育ち、ロシア国籍を持つ男性の思い。長野県飯田市在住のニコライ・キリロフさん。ロシアによる侵攻で信州に避難してきたウクライナ人のために通訳をしてきた。戦闘が長引く中、2つの国にルーツを持つニコライさんが胸中を語った。

苦悩抱えながら避難民支える通訳に

高森町へウクライナから避難家族の受け入れ(2022年5月)

飯田市に本部を置く空手団体「空手道禅道会」は現地の支部を通じて、ウクライナ避難民を受け入れている。通訳としてサポートしてきたのが飯田市在住のニコライ・キリロフさん(50)。ウクライナで育ち、その後、ロシア国籍を取得した。

ニコライ・キリロフさん

「兄弟」のようだと思っていた2つの国。その仲が引き裂かれ、苦悩の日々が続いている。

ニコライ・キリロフさん(50):
「普段仕事をしている時とか、娘と遊ぶ時に、自分自身は一体何だろうと思う時がある。自分が住んでた2つの国の人たちが戦っている。悲しいし、無念。みんなが(終戦を)願っているのに戦場に行って相手を殺さなきゃいけない。もう、どう言えばいいかわからない、言葉がない、戦争を表すには」

2つの国にルーツ 大学卒業後にロシア国籍

ニコライさんの幼少期(提供写真)

ソ連時代のモスクワで生まれたニコライさん。父親はウクライナ出身、母親はベラルーシ出身でロシア育ち。

ソ連時代、そういう家庭はよくあったという。

ニコライさんが高校生まで暮らしたウクライナ・ドニプロ(提供写真)

ニコライさんが3歳の時、一家はウクライナ東部・ドニプロへ移る。母親がロケット工場で働くためだった。

大学はロシアのモスクワ大学へ(提供写真)

その後ニコライさんは、モスクワ大学へ進学。1991年のソ連崩壊で、国籍を選ぶことになったが、ロシアの大学卒業者がウクライナ国籍を取得するのは手続きが難しかったため、ロシア国籍を取得した。

モスクワのIT企業で働いていた頃のニコライさん(提供写真)

その後、モスクワのIT企業で働いていたが日本のアニメが好きになり、独学で日本語を勉強。2008年に来日し、泰阜村出身の女性と結婚したことから、2019年に飯田市に移住した。

戦禍に巻き込まれる市民 母とめいを呼び寄せる

左から、めいのダリアさん、母親のオリガさん、ニコライさん

落ち着いた暮らしが続いていたが、2022年2月、一変する。

ロシアによるウクライナ侵攻が始まったのだ。

ニコライ・キリロフさん(50):
「始まったら、誰もどうしようもない、絶望感が最初の思い」

故郷・ドニプロには母親と妹家族が住んでいた。ニコライさんの説得で2022年5月、母・オリガさんとめいのダリアさんは、飯田市の市営住宅に避難した。

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長野放送ニュース

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