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「そんなんだったらやめれば」渡部暁斗の心を動かした妻の一言 覚悟を決めたレジェンドがミラノ五輪、そして最後の舞台へ “暁斗コール”に感動「120点」 W杯最多303試合を戦い抜いた王者が語る全て #3

■総合優勝の山に「誰もいなかった」

 

2017-18シーズン、ワールドカップ個人総合優勝を「本物」と信じて戦い続けてきた渡部でしたが、その栄冠を手にしたことで、逆にオリンピックへの思いが変化していったといいます。

「1番険しい山に1人で登っていって、登頂したんだけど、でも誰もいないじゃないですか」と渡部は表現しました。

ワールドカップ総合優勝は紛れもない偉業ですが、それを共有できる人の数が少ない。

一方のオリンピックは、声援を受けながら多くの人とその瞬間を共有できます。

「誰かと登りたくなった感じ」と渡部は言います。

「そのスポーツの素晴らしさだなと、そのときは思いましたね」と、オリンピックの価値を改めて認識した経緯を率直に語りました。

銀メダル2回という結果が残るからこそ、「もう少しみんなとわいわい登れる、こうイエーイっていう登山がしたくなった」という言葉の重みが伝わってきます。

■「50対50」たどり着いた哲学

ジャンプとクロスカントリーという、相反する能力を同時に磨かなければならないノルディック複合。

渡部は長年の競技生活の中で、「50対50」というシンプルかつ深い哲学にたどり着きました。

「どっちかに偏るとおかしいことになってくる。いろいろバランスを変えてやってみたけど、やっぱり五分五分でやって」という結論です。

ただ、その真ん中を支えるものとして、渡部が最も重要視していたのが「身体操作のトレーニング」でした。

「人体を操るっていう、まあそこのポイントを押さえておけば、ちょっと51パーと49パーになったとしても全然バランスが取れる」といいます。

体のことをしっかり勉強し、自分の体を思ったように動かせる状態を作っておくこと。「それが1番この真ん中を押さえておくという意味で大事かなと思いながらやっていた」と渡部は語りました。

スキージャンプは陸上競技と異なり、フィジカルの能力があまり反映されないという側面もあると渡部は分析します。

「筋力が弱い選手でも、うまさがあれば逆に飛べたりとか」という特性があり、クロスカントリーに比べてテクニックの比重が大きい。

だからこそ、どちらの競技においても「正しい位置」に乗り続けること、「正しいタイミングで正しいポジションで踏む」ことが最も重要だと語りました。

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