昭和期の時代小説がついに完結!
第一巻を手に取ったのが1996年頃のことです。
以来、数年に一度のペースで出る新刊を心待ちにしていた小説があります。
先日、その小説の最終巻が発行され、
壮大なストーリーは幕を閉じました。
毎週木曜日に産経新聞に掲載されている
長野放送アナウンサーコラム"VOICE"に寄稿した文章を転載します。
ぜひご一読ください!
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「松坂熊吾」という名前を聞いて、
ピンとくる読者も多いのではないでしょうか。
作家の宮本輝さんが手がけた自伝的小説「流転の海」シリーズの主人公です。
自分の父をモデルとした熊吾と、
その家族の生きざまを描いた長編小説の最終巻が
先日、発刊されました。
「なにがどうなろうと、たいしたことはありゃあせん」
愛媛なまりで語る熊吾の言葉通り、
戦後の混乱期を知恵と工夫で乗り切った松坂一家の姿に心打たれ、
毎巻読んでいます。
15年ほど前、
軽井沢にある宮本輝さん行きつけの店を取材中、
ご本人と会う機会を得ました。
飄々とした振る舞いが、
熊吾の息子として登場する「伸仁」そのもので感激したものです。
最終巻では、
伸仁が大学でテニスを始めるくだりがあります。
大学のテニス部を舞台に描かれた
代表作「青が散る」にバトンを渡すような展開で、
ファンの一人としては、とても心に響きました。
壮大な物語を執筆していただき、ありがとうございました。