■伝統背負う松本深志高校ダブルダッチ部「JOKER」

ダブルダッチ
体育館に響く歓声と音楽。2本の縄が描く軌跡の中で、高校生たちが躍動する。松本深志高校の文化祭。この日を最後に3年生は引退し、新チームへとバトンが渡されました。それから半月後、一人の男が練習場に現れました。「やっぱりダブルダッチ楽しんでほしいなっていう事が一個大きくあって」。彼の名は黒岩基(はじめ)。かつてこのチームで世界2位に輝き、今も世界の舞台で活躍するプロプレーヤー。母校の非常勤講師として顧問に就任した彼が、後輩たちに伝えたかったこととは。
■7年ぶりの帰還 世界を知る男の眼差し

指導するHAJIME(左)
練習場に現れたHAJIME(ダッチャーネーム)は、後輩たちに静かに語りかけました。
「技術的なものをもっと身に付けて、もっと自由に表現できたらもっと楽しいんじゃないかなと」。
卒業してから7年。HAJIMEは、松本深志高校ダブルダッチ部「ジョーカー」のOBとして、プロプレーヤーとしての経験を携えて戻ってきました。
彼はプロチーム「HARIBOW(ハリボー)」の立ち上げメンバーの一人として、世界を股にかけて活躍してきました。昨年の世界大会でも上位に入賞するなど、その実力は折り紙付きです。
「おじいちゃんになって孫ができた時とかに「おじいちゃんやってたんだよ」って孫に言った時に、「かっこいいじゃん」って言われる競技にしたいなと思って」。
HAJIMEの言葉には、ダブルダッチへの深い愛情が滲んでいます。最近では若手育成にも力を入れ、競技の普及と教育に情熱を注いでいます。
部員の前羽さんは。「自分たちじゃ分からない部分を言語化してくださって本当に助かる。本当に尊敬しています」。
現役生徒にとって、HAJIMEは憧れそのものでした。
■「深志らしさ」を探す旅

練習を見守るHAJIMEの目に、あるものが映りました。それは、チームとしての「核」の不在でした。
「これはJOKERとして受け継いでいきましょうっていうものが今存在していないから、それをまずドンと作って、それさえ受け継いでいけば、あとはその代ごとの自由度、代ごとのらしさに任せちゃうみたいな感じも全然いいかなっていう感じ」
HAJIMEは、あえてすべての答えを伝えませんでした。深志らしさとは何か。それを生徒たち自身に考えさせるためです。
「深志高校ジョーカーのいいところはやっぱり校風も自治っていうのを掲げていて、やっぱり自分たちで自分たちらしくやるっていうところも残さないと、やっぱりジョーカーの良さっていうのも消えちゃうかなと思うので」
ジョーカーの1・2年生は全26人です。ほとんどが高校からダブルダッチを始めた初心者です。
「みんなが戦うレベルの人たちでも5、6年とかやってるわけじゃない。そこをどう効率化して、どうスピードを上げて上手くなっていくかっていうところがポイントだから」とHAJIMEは語ります。
新チームが挑むのは、ダブルダッチ甲子園「ITADAKI」です。6チームに分かれてパフォーマンス部門に出場する大舞台です。

