■ブリの食べ方にも地域性

「ブリの酒粕汁」と「ブリの粕がけ」
さて、もう一つの年取り魚「ブリ」も伊那ならではの食べ方が―。
ゆでたブリに砂糖や塩で味付けした酒粕をかけて食べるのが一般的です。
このほか、酒粕で煮込む「ブリの酒粕汁」も多く食べられているそうです。
酒井さつきさん:
「酒粕は防腐剤のような意味もあるでしょうし、この辺は米どころだから酒蔵が多かったという意味もあると思う」
■全国的には薄れてきた「年取り魚」

長野県立大・中沢弥子教授
長野県立大の中沢教授によりますと、県の歴史や文化などを記した「長野県史」には信州の「年取り魚」はサケ・ブリ・イワシ・サンマ・マス・コイなどが記録され、調理方法もさまざまだったと話します。
長野県立大・中沢弥子教授:
「記録を見てるとブリを食べた、サケを食べたっていうだけじゃなく、マスかブリかサケかイワシを食べたとか、併記されている。その年の都合だったり、その年のいろいろな事情だったりで選ばれてきたこともあるので。そういった魚が各地域から届き、家庭の経済状況に合わせ、海の魚をお頭付きで家族で食べよう、伊那・飯田あたりでは(正月)3日目だったり6日目だったりにサケやブリではなく違う魚をっていうので、こう食べる風習がちゃんと根付いていらっしゃったんじゃないかなと思うところです」
そして、今も地域に根付いているのは県内の流通・販売に携わる人たちの力が大きいと話します。
長野県立大・中沢弥子教授:
「海のものを何とかして家族で楽しくいただかれていたんだな、召し上がっていたんだなっていう記録が『県史』からは考えられるところで、それが今に続いていてスーパーマーケットとか魚屋さんとかが大事にしていないと途絶えてしまうので、私自身は流通の方たちや販売の方たちがその文化を大事にしてるからこそ残ってきたっていうのも感じています」
中沢教授によりますと、そもそも「年取り魚」を食べる風習が全国的には薄れてきているということです。海なし県・信州で地域ごとに大事にされている「年取り魚」。中沢教授は長く受け継がれてほしいと話しています。

