
関西テレビ記者・上田大輔監督
「虐待か、冤罪か?」 8年間の調査報道がドキュメンタリー映画となり、話題を呼んでいます。
上田大輔記者(映画本編より):
「企業内弁護士として関西テレビに入った私は、その7年後希望して記者になった」
弁護士から転身した上田記者が、8年間にわたり追い続けたのが「揺さぶられっ子症候群」、通称SBS事件でした。
2010年代に入り、赤ちゃんに目立ったケガがなくとも、硬膜下血腫など3つの症状、いわゆる”3徴候”が見つかれば、激しく揺さぶった虐待だと医師が診断。その結果、親などが逮捕・起訴される事件が相次いでいました。
2017年に弁護士らの検証プロジェクトが立ち上がり、揺さぶり以外の原因が次々と明らかに。無罪判決が相次ぐ前代未聞の事態が巻き起こっていきます。
映画では、身に覚えのない罪に問われて、離れ離れの生活を余儀なくされた家族に密着しました。
母親(映画本編より):
「『(息子は)どこにいるんですか?』って伝えても『それはお伝えできないんです』って」
上田記者はさらに、逆転無罪となった男性の求めに応じ、自分たちが報じた逮捕のニュースを見せることに。
(映画本編より 当時のニュース映像の音声)
記者:
「虐待とかはしてない?」
男性:
「してないわ。してたらここにおらんわ」
(映画本編より)
男性:
「上田さん思いませんか?こいつがやったに違いないって報道していますよね、むしろ」
虐待冤罪事件と向き合う記者の葛藤を描いた映画「揺さぶられる正義」は9月から順次全国で公開されています。
関西テレビ記者・上田大輔監督:
「みんなが正義に惹きつけられ、正義を語り、正義に背中を押されて、時に暴走してるんじゃないか?自分自身も含めて、そういう意味では怖い言葉だなと今は思います。
映画を観た人は―。
男性:
「日常の刑事事件の報道で、やっぱりステレオタイプで見てしまうことがかなりあるなと」
女性:
「自分の正義をもって誰かを傷つけることもきっとあるし、誰かの正義に自分も傷つくことがあると思う」
男性:
「真実はどういう立場から見るかによって変わるんだなっていうのを、このドキュメンタリーから学んだ」
長野では、長野相生座・ロキシー(長野市)で、11月28日から12月11日まで公開されます。

