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【戦後80年】お腹がくっついた2人の赤ちゃん…戦争の「後遺症」を伝え続ける報道カメラマン 中村梧郎さん(84)「若い世代に戦争の事実と向き合う機会を」

■お腹がくっついた2人の赤ちゃん

お腹同士がくっついた2人の赤ちゃんを母親が抱きしめている(撮影:中村梧郎さん)

初めて知った、枯れ葉剤の住民への影響。その後もたびたびベトナムに足を運び、フンさんをはじめ、現地の人に残る戦争の後遺症を取材し、撮影してきました。

中村さん:
「このお母さんが、うんと大事にしていたんですね、この子たちを。生まれた時はびっくりしたと言っていましたけど」

お腹同士がくっついた2人の赤ちゃんを、母親がいとおしそうに抱きしめています。この写真は、戦争終結から30年以上たった、2007年に撮影したもの。枯れ葉剤の被害とみられています。

枯れ葉剤に含まれるダイオキシンは、胎児の奇形をもたらすリスクや、発がん性がある猛毒です。そのダイオキシンが大地に残り、現地で取れた魚などを食べることによって、戦争当事者の子どもや孫の世代にも影響が出ています。

■双子は1歳で亡くなる

母親のチャンティさん(手前)と双子の子ども(2006年取材)

中村さんは写真に収めた親子の取材を続けてきました。母親のチャンティさんと双子の子ども。この時は、生まれたばかりで体力がまだなく、分離手術もできない状態でした。

成長し体力がつくのを待って手術を行う予定でしたが、双子は1歳で亡くなりました。

中村さん:
「(母親は)本当に悔しいと言っていましたね。『枯れ葉剤の記憶は直接ないけれども、枯れ葉剤が原因だとすれば、かわいそうなことをした』と言っていました」

■戦争の「後遺症」

ベトナムでの式典パレード (撮影:中村梧郎さん)

ベトナム戦争が終結して、2025年で50年 。ホーチミンでは、国を挙げての記念式典が開かれ、中村さんも参加しました。ベトナムは、戦争の事実を世界に伝えたことに感謝し、前線で取材したジャーナリストたちを招待したのです。終結から半世紀を迎えたいっぽうで、戦争はまだ、終わっていません。

中村さん:
「ベトナムの評価としては、50年たったけれども、ベトナム戦争中にさまざまな事実が報道されたこと、それが世界の世論を動かした。その後もさまざまな戦争の後遺症の発表があったことが世界の支援を呼び覚ますことになった。本物の報道がいかに大事であったかを改めて感じる。枯れ葉剤は化学兵器、その化学物質によってはいろんな後遺症を引き起こす。その影響はいまだに続いている。戦争が終わったから全ての被害が終わるわけではないことを痛感している」

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長野放送ニュース

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