■“七転び八起き”「YAOKI」

「七転び八起き」に由来して「YAOKI」
風力発電やロボット開発に取り組む中、知人の誘いもあって10年ほど前から本格的に「月面探査車」の開発を始めました。こだわったのは「2輪」です。
「YAOKI」を開発した・中島紳一郎さん(2021年):
「なぜ2輪にしたかというと、軽量化ということです。月に行く輸送費が1キロ当たり1億円といわれているので非常に高額で、徹底的に軽量化する必要があった」
試行錯誤の末、完成した「YAOKI」。2019年、NASAの月輸送ミッションに応募したところ、ロケットへの搭載が決定しました。軽さや丈夫さが評価されたということです。
中島紳一郎さん(2021年取材):
「倒れても走行可能なのがもう一つの特長。『七転び八起き』に由来し『YAOKI』」
その後も、衝撃や振動に耐える試験や、月と同じ重力空間での性能を確認する試験を重ね、2月、打ち上げ前の最終確認試験もクリア。走行性もこの数年でより高まったといいます。
中島紳一郎さん:
「月の重力は地球の6分の1、(月を想定した)荒地、砂地の6分の1重力下での走行は、設計ができず実験するしかない。そこがこの1、2年でずいぶん進化したところ」
■民間で世界初の月面探査へ

水資源の探索などの活動を始める予定
2月27日、月へと向かった「YAOKI」。ロケット内部の月着陸船に搭載されています。月面への着陸は日本時間の3月6日ごろになる見込みで、YAOKIは10日ごろから水資源の探索などの活動を始める予定です。
成功すれば、世界初の「民間による月面探査」となります。中島さんも渡米し、「YAOKI」の遠隔操作を担当します。
中島紳一郎さん:
「本番の月面探査は3月上旬、中旬なので、全然、気を緩めている場合ではない。まだ目標に向かってはスタートラインにも立っていない。一歩一歩近づいている実感はある、本当に一歩一歩これからも続けていきたい」
「ダイモン」は数年のうちに、YAOKIを100基生産し、月に送ることを目標としていて、「撮影したデータで月の開発に貢献したい」としています。
「YAOKI」を開発した・中島紳一郎さん:
「(YAOKIは)毎年打ち上げる計画で、だんだん数を増やして打ち上げます、数年後には100基を目指していて、多分、月で一番数の多いデバイスになる。月の開発が本格化してくるころには、YAOKIが監視ロボットとして、黒子の役割になりつつも、データの集積地になっていく。月面の開発を加速させる役割を担うことを実現できる日が数年後に迎えられるように今から準備を進めていきたい」