
月面探査車・「YAOKI」
特集は長野ゆかりの月面探査車です。2月27日の打ち上げに成功したアメリカのロケットに、小さな月面探査車が搭載されています。開発したのは長野市出身のエンジニア。民間初の月面探査へ大きな一歩を踏み出しました。
■月に向かってロケット打ち上げ

打ち上げの中継映像を見守るイベント(2/27 、東京・文京区の「Space Travelium TeNQ」)
日本時間の2月27日午前9時過ぎに打ち上げられたロケット。NASA・アメリカ航空宇宙局の「月輸送プログラム」で、アメリカの民間企業が打ち上げたものです。東京都内でも打ち上げを見守るイベントが開かれました。
打ち上げは成功。
■重さ498gの月面探査車を搭載

打ち上げを見守る「YAOKI」の開発者・中島紳一郎さん
安どの表情を見せたのは宇宙開発ベンチャー「ダイモン」のCEO、長野市出身の中島紳一郎さん。ロケットには、中島さんが開発した「あるメカ」が搭載されています。
月面探査車「YAOKI」です。手のひらに乗るほどの大きさで重さはわずか498グラム。内蔵のバッテリーで6時間ほど走行が可能で、車輪の間にあるカメラで、月面を撮影します。
10年以上「YAOKI」の開発を続けてきた中島さんにとって、2月27日の打ち上げは大きな一歩です。
「YAOKI」を開発した・中島紳一郎さん:
「無事切り離しまでできて、ほっとしている。(部品が)何か落ちたこともなさそう。今のところ(月面着陸機と)糸で結ばれたまま月に近づいているんだなと」
■プラモデルにつぎ込んだ少年時代

「YAOKI」を操作する中島紳一郎さん(2021年)
中島さんのものづくりの「原点」は長野市で過ごした少年時代にあると言います。
「YAOKI」を開発した・中島紳一郎さん(2021年取材):
「おこづかいの99%はプラモデルにつぎ込むような子ども時代でした。プラモデルを買って組み立てるというので最初は満足していたんですけど、だんだんそれで満足できなくなってきて、自分のオリジナルを作って組み立てるところに行きつきまして。就職先もエンジニアというのはほとんど一択だった」
大学卒業後は自動車関連会社で駆動系のエンジニアとなりましたが、2011年に「自分の技術で社会に役立つものを作りたい」と独立を決意。立ち上げたベンチャー企業は故郷にちなみ、「ダイモン」と名付けました。
中島紳一郎さん(2021年):
「実家が善光寺の境内で、眼下が大門町なんですね。まったく新しいところにチャレンジするということで、大きな門を開こうという意味も込めまして『ダイモン』」