
高遠城址公園のタカトオコヒガンザクラ(伊那市)
仙醸 営業部・シャープ仁妙さん:
「ジンを飲みながら、あの桜の風景を思い出していただけたら。その土地を思っていただけるような一本になればいい」
■信州は酒造りが盛ん

伊那市高遠の酒造会社「仙醸」
信州でクラフトジン造りが盛んになっている要因の一つには、こうした酒蔵の参入が挙げられます。
酒蔵の数は78カ所で新潟県に次いで全国2位。少なくとも4つの蔵がクラフトジン造りに取り組んでいます。
元々、酒造りが盛んな上、ジンは作り手の個性が出しやすく参入しやすいことも手伝っているといわれています。
■「水」決め手に始めた蒸留所も

「野沢温泉蒸留所」(野沢温泉村)
そして、もう一つ要因として挙げられるのが酒造りにも通じる、「きれいな水」が豊富にあること。水に着目した蒸留所が野沢温泉村にあります。
客・オーストラリアから:
「全部違う味でとてもおいしい」
2022年12月にオープンした「野沢温泉蒸留所」。クラフトジンを味わえるバーもあり、外国人客に人気です。

野沢温泉蒸留所・リチャーズ・フィリップ社長
経営者はオーストラリア人のリチャーズ・フィリップさん(52)。
都内の銀行で働いていましたが、5年ほど前、スキーなどでよく訪れていた野沢温泉にほれこみ移住。以前から興味のあった蒸留所を立ち上げました。

湧き水「六軒清水」
こんこんと湧き出るのは、近くにある「六軒清水」という湧き水。実はこの水が蒸留所を立ち上げる決め手になりました。
野沢温泉蒸留所・リチャーズ・フィリップ社長:
「山の上に雪として降ってブナ林の葉っぱのじゅうたんにまず、ろ過されて50年間くらい山の中を通ってきれいな水が出てくる野沢温泉の水が、とてもおいしくてまろやかな軟水、水が一番大事」
■蒸留所の中は

ヒノキ科の木から出てくる実・ジュニパーベリー
蒸留所の中を案内してもらいました。
蒸留責任者・ヨネダ・イサムさん:
「これはジュニパーベリーです。ヒノキ科の木から出てくる実、すごくスパイシーでアーシー(土の香り豊か)」
これに風味や香りを決めるボタニカルをさらに加えます。こちらで使っているのは…
蒸留責任者・ヨネダ・イサムさん:
「なるべく野沢温泉村のものを使ってる、例えば『IWAI GIN』で近くのスモモを使ってる」
他にも安曇野市産のワサビや広島産のレモンピールなどおよそ35種類。
蒸留責任者・ヨネダ・イサムさん:
「200種類くらいを実験しました。森の中歩いて、いろんなもの拾って味見できるものは味見して、それを実験蒸留でどんな香りが出たかを見て、それで判断しています」