
井上百貨店の最後の福袋(1月2日、松本市)
特別な初売りです。長野県松本市では2025年2月にパルコが、3月には井上百貨店が閉店します。市民に長く愛されてきた店の最後の初売り。感謝を込めた店側と、閉店を惜しむ客に密着しました。
■「思い出深い店でさみしい」

井上百貨店の初売り(1月2日)
1月2日午前10時―。
店員:
「おめでとうございまーす」
開店と同時に客が次々と店内へ。井上百貨店の初売りです。お目当てはもちろん福袋。
大町市から:
「やりました!って感じです」
市内から:
「“最後の記念”に、と思う気持ちと一緒に購入しました」
駅前の本店は、2025年3月末での閉店が決まっていて、これが最後の初売り。

松本パルコにできた行列(1月2日)
一方、松本パルコも2月末で閉店。こちらも朝早くから行列ができていました。
諏訪市から:
「高校時代、よく寄らせてもらってて、思い出深い店なのでさみしいなと。長野県では松本しかなかったので、誇りではあったんですけど」
松本のシンボル的存在だった2つの大型店。店にとっても、客にとっても、特別な一日となりました。
■年末に準備した福袋の中身は

井上百貨店に入社して10年目の山地奨さん(2024年12月27日)
12月27日―。
年末、井上では福袋に商品を詰める作業が進んでいました。
井上百貨店・山地奨さん:
「そうですね、ちょっと複雑、閉店ということもありますので」
寂しさをにじませるのは山地奨さん。
人と接する仕事がしたいと、幼い頃から足を運んだ井上に入社して10年目。初めて福袋の担当を任されました。

福袋はこれまで以上に豪華
井上百貨店・山地奨さん:
「いつもよりいいものを入れていますので、楽しんでいただきたいなと」
3カ月前から検討したという中身は1万5000円相当の台所用品に、1万円の商品券が入って値段は1万4000円。本店ではこれが最後、さらに創業140周年の感謝の思いを込め、奮発しました。
■かつては福袋1300個を準備

トラックから福袋の箱をリレー方式で運び入れ(1992年12月)
1885(明治18)年に呉服店として開業した井上。1979(昭和54)年に現在の駅前に移転オープン。初日は店の前の道路が人で埋め尽くされました。
こちらは90年代の初売りの準備。トラックから福袋の箱をリレー方式で運び入れます。その数なんと1300個。当日は客で身動きが取れないほどの盛況ぶりでした。