
「パンが分厚いのと、バターの味がおいしい」
妻・幸枝さん:
「パンが分厚いのと、バターの味がおいしいです。ほんとに終わっちゃうと思うと寂しいね」
夫・賢太朗さん:
「(最後のモーニングを)ゆっくり楽しんで、目に焼き付けて」

記念撮影
最後に記念写真―。
市内から訪れた夫婦:
「ありがとうございました」
久保田さん:
「どうもありがとう、いってらっしゃい」
■妻「お父さん、きれいに店閉めようよ」

妻・美恵子さんの姿も
午後4時過ぎ―。
閉店の時間を迎えました。
体を気遣い、店を閉じるよう頼んだ妻・美恵子さんの姿も。
妻・美恵子さん:
「病気がね、みんなにお世話になったことを『ありがとう』って言えない状態で店を閉めることがすごく嫌だったので、『お父さんきれいに店閉めようよ』って」

最後に、常連客が久保田さんのためにコーヒーを入れる
常連客:
「マスターみたいに、うまくいかないですね」
最後に常連客が感謝を込めて久保田さんのためにコーヒーをー。
久保田さん:
「熱い!おいしい」

「いってらっしゃい」
常連客:
「じゃあこれで、いってきます」
「珈香」マスター・久保田富夫さん:
「ありがとう、気をつけてな。いってらっしゃい」
最後の客もいつも通りの笑顔でー
久保田さん:
「いってらっしゃい、サンキュー」
■客に愛され、家族に支えられ

「ここがすべてだったので…本当、みんなに感謝」
「珈香」マスター・久保田富夫さん:
「マラソンなんかやったことないけどそんな感じ、気持ちいい。写真見たり、いただいたものを振り返って、切なくていられなくなるかもしれない。もうここには立てない。ここがすべてだったので、本当、みんなに感謝」

久保田さんと妻・美恵子さん
閉店を決断させた妻の美恵子さんにも感謝です。
久保田さん:
「俺はだらだら行きたかったんだけど、いい線引きをしてくれました」
妻・美恵子さん:
「いてくれればいいんですよ、本当に。いてくれればいいので、そのためにやめてもらいたい。ずっと一緒にいたいので、一日一日大事にしていきます」
久保田さん:
「ありがとう。やばいな、音声だけ使って」

閉店前、記念撮影で常連客と家族に囲まれる久保田さん(8月24日)
客に愛され、家族に支えられー。
街角の喫茶店が45年の歴史に幕を下ろしました。
「珈香」マスター・久保田富夫さん:
「19の鼻水垂らしているときから64で頭がはげる時まで、本当全てです。ここから見える景色がすべてです。もう仕事はこれで終わり。あとは妻と子どもたちと孫たちと、静かに暮らしていければいいかな」