■閉店は妻への誕生日プレゼント

コーヒーを入れるマスター
昭和の香りを残す店。久保田さんは以前、「最低でも50年は続けたい」と話していました。
しかし、3年前に患った肺炎の影響で体調が思わしくなく、苦渋の決断をしました。最後の日を「8月24日」にしたのには訳があります。
久保田さん(8月13日):
「妻が8月25日が誕生日なんですよ。今まで何一つプレゼントしたことがなくて、『最後に私が望むプレゼントがほしい』と。『お店をやめて、ゆっくり体のことを考えて休んでほしい』と言われて。体的にはきついけど、エプロンをしてカウンターに立つと、みんなからやっぱり力もらえるんで、やっぱりこの仕事が天職だったんだと思う。それが分かって、幸せなんだよね」
久保田さん:
「いってらっしゃい」
■昭和の喫茶“最後の日”

店の入り口に張られたマスターの言葉
8月24日―。
迎えた「珈香」最後の日。
多くの常連客が訪れ別れを惜しみました。

閉店を惜しむ常連客
7年通った客:
「(あるのが)当たり前すぎて、まだ実感がなくて。通りかかって閉まってたら『閉まっちゃったんだな』って思うかも」
10年以上通った男性:
「ご苦労さまですけど、寂しい。ぽっかりと穴があいた状態になると思う。“珈香ロス”です」

10年来の常連
10年来の常連:
「彼の人柄だよね。優しいし、気配りも。彼の人間性にほれてみんな来ているんだと思う」
久保田さん:
「ありがとうございました」
10年来の常連:
「気を付けてやれよ。早く治せよ」
久保田さん:
「いってらっしゃい」

父親を手伝いに駆けつけた息子・天地さん(左)
店を手伝う男性。父親をサポートしようと駆けつけた息子の天地さん(32)です。
息子・天地さん:
「『継がないのか』とよく言われるんですけど、マスターあっての『珈香』なので、自分が継いだってなると全く違う店になってしまうので、きれいなまま終わらせたいなと。体はボロボロかもしれませんけど、笑顔のうちに店を閉められたのが幸せだなと」
■常連客「寂しいね、お疲れさま」

モーニングを楽しみに通い続けた客
夫婦で訪れた客:
「お疲れさまです」
久保田さん:
「ありがとう」
市内から訪れた横山さん夫婦。この3年、土曜はほぼ必ず「珈香」でモーニングを楽しんできました。
最後のモーニングにー。