
さまざまなおかずが入った弁当
2020年、「ライフデリ松本店」のフランチャイズ運営に乗り出しました。
ライフデリ松本店・辻敬さん:
「これからの時代、高齢者の一人暮らしが多いということもあり、見守り活動も兼ねた配達を」
時はコロナ禍。お年寄り世帯からの需要が高まり徐々に注文が増えました。
さらにお年寄りと触れ合う機会も増えました。

松井さん夫妻と辻さん(左)
契機となったのがー。
利用者の要望で始めたマッサージ師の派遣です。
松井健さん(90)、芙紗子さん(85)夫婦。
お年寄りに寄り添う中で二人はあることを発見します。
ライフデリ松本店・辻敬さん:
「ここにね、こんな風にあったんですよ、これこれ。絵もあって俳句もあって」
それはさまざまな趣味や楽しみ。健さんは、60歳で定年退職してから30年、俳句を続けてきました。

松井さんの句を並べる
戦争や平和を願う句―。
松井さんの句:
「反戦の 老婆にうらら 鳩餌付く」
「敗戦忌 爆死餓死なき 米寿かな」
松井健さん(90):
「松本も爆弾が落ちたことがあって、里山辺に、B29が。ものすごい爆音と光にびっくりしてね。私たちの世代の戦争の体験を絶対に戦争があっちゃいけない」
ライフデリ松本店・辻敬さん:
「身にしみますね。生きてこられた方の声っていうのは」

健さんの句を載せた号
2人はこうした趣味や思いを発信すれば「利用者の励みにもなるのでは」と考え、「えんがわ」の制作に着手。
試しに作った「0号」と、「1号」に健さんの句を載せました。
松井健さん(90):
「最初は恥ずかしいと思いましたけど、高齢者や若い人に元気を与える結果が出ればうれしいです」
妻・芙紗子さん(85):
「ありがたいと思っています。日の目を見るってことがいいんじゃないですかね」

教えて!元気の秘密 私の手仕事作品紹介のコーナー
「えんがわ」にはお年寄りの何気ない日常もー。
第1号に掲載した、丸い石を積み重ねた、まるでアート作品のような写真。下田さんが、90歳になる女性の家の庭先で見つけたもので聞けば「亡き夫が集めていた石を並べて楽しんでいる」とのこと。
ライフデリ松本店・下田民子さん:
「なんて粋な楽しみ方だろうと、胸がキュンとしたんです。それぞれの人生が芸術だなって、そういう気持ちがしたんです」