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御嶽山噴火災害 控訴審始まる 気象庁の判断と被害の因果関係は 遺族「良い結果を願っている」

東京高裁前(10月18日)

多くの犠牲者を出した御嶽山噴火を巡る裁判です。「噴火警戒レベルの引き上げを怠った」などとして遺族らが、国と県に損害賠償を求めた裁判。一審判決では、気象庁の判断の違法性を認めながらも、被害の因果関係を認めず、原告の請求を棄却。不服とした原告側は控訴していました。気象庁の「落ち度」をどう捉えるか。18日から控訴審が始まり、原告側は改めて、判断と被害の因果関係を認めるよう訴えました。

御嶽山噴火(2014年9月)

横断幕を手に高裁に入る御嶽山噴火災害の原告団。国と県に損害賠償を求めた裁判の控訴審が18日から始まりました。

死者・行方不明者63人が出た2014年9月の御嶽山噴火。

国と県に総額3億7600万円の損害賠償を求め提訴

遺族ら32人は「噴火前に、火山性地震が増加したにもかかわらず、噴火警戒レベルの引き上げを怠った」などとして、国と県に総額3億7600万円の損害賠償を求め提訴しました。

一審判決

一審判決では、「噴火2日前に地殻変動が確認されていたのにその後、十分、検討せず漫然とレベルを据え置いた」などとして気象庁の判断の違法性を認めました。

一方で、「レベルの引き上げにはさらに検討が必要で、被害者が登る前に確実に立ち入りが規制されたとは言えない」などとして、被害との因果関係は認めず、請求を棄却しました。

夫・保男さん(当時54)を亡くした東御市・伊藤ひろ美さんはー。

夫を亡くした・伊藤ひろ美さん:
「夫の無念気持ちが少しは和らぎ、楽になってほしいと思っていたが、今回はその願いがかなわずとても残念」

東京高裁(10月18日)

原告側は、一審判決を不服として控訴。18日始まった控訴審で原告側は、「地殻変動を確認してから1時間半ほどで山体膨張の可能性があるとの検討結果を得ることができる。

立ち入り規制が間に合わなかったとするのはあり得ない」などと主張。

さらに、警報を出した場合、どれほどの時間で登山者に入山規制を伝えられたか調査するよう求め、高裁も認めました。

一方、被告の国側は、棄却を求める方針です。

夫を亡くした・伊藤ひろ美さん

夫を亡くした・伊藤ひろ美さん:
「噴火前の気象庁の観測は徹底的に調べてもらいました。私たちの主張は間違っていないと確信してきました。必ず良い判決が出ることを願っている」

次回の裁判は2024年2月7日の予定です。

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