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「放置竹林」解消へ 『全国初』の活用方法も 使い切り食器や土木工事の資材に 試行錯誤続く

手入れされず放置された竹林が増えています。竹林が多い長野県の飯田下伊那地域では、新たな活用方法を探そうと、土木工事の資材に、使い切りの食器にと試行錯誤が続いています。

県が阿南町新野で行っている治山工事の現場。重機の作業道を補強するため使われているのが、町内で伐採した「竹」です。

加熱乾燥することで従来の合成樹脂に近い強度を確保し、コストも抑えられるということです。

地元の竹を土木資材に使う「地産地消」の活用例としては「全国初」ということです。

南信州地域振興局 林務課・清水靖久課長:
「乾燥したりひと手間かけることによって、竹はいろんな可能性を秘めてます。今回、土木資材への活用という道が開けたので、この現場で採用することにしました」

背景にあるのは「放置竹林」の問題です。

飯田下伊那地域の竹林の面積は600ヘクタールと県内一ですが、整備されているのは22ヘクタールにとどまります。

食用や竹細工以外の活用方法が少なく、所有者の高齢化などでほとんどが手つかずの状態です。

そこで県が目を付けたのが、東京の建設資材メーカーが開発した竹の補強材で、16日の見学会には近隣の自治体職員など20人余りが参加しました。

参加者:
「竹の問題がありますので、有効活用が図れる可能性がすごく感じられたので、大変いいかなと思いました」

県は、建設現場での活用が広がれば、放置竹林の問題の解決につながると期待しています。

南信州地域振興局 林務課・清水靖久課長:
「観光資源としても豊かな景観を守っていかなければならない。そういうことの解決にもつながれば」

使い切りの皿やコップ。伐採した竹を原料にしています。

竹を破砕機にかけると、こんなパウダー状になります。竹のパウダー30%に紙パルプ70%の割合で作った食器は、脱プラスチックにもつながります。

作ったのは高森町です。

高森町役場 産業課・松島高根 担当係長:
「竹に山が飲み込まれていく、耕作放棄地や山林の周りの耕作地、住宅地なんかへも竹が広がっていて竹に飲み込まれていく。そういう状況にもなりかねない」

町内には55ヘクタールの竹林がありますが、活用方法が乏しく9割が放置されています。

そこで、食物由来の食器を製品化している総合商社「丸紅」と連携。県の支援金を活用して破砕機を購入し、竹のパウダーで丸紅側に食器を作ってもらいました。

30キロの竹で深皿1000枚、平皿20枚、コップ120個などができました。

町のイベントなどで活用していて、飲食店などへの展開も期待しています。

高森町役場 産業課・松島高根 担当係長:
「住民の皆さまにも竹林問題に関心を持っていただくとともに、再び資源とか竹を活用する方法がないかと、みんなで考えていける機会になれば」
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