
特集は、長野県小谷村を中心に人気上昇中の「出張焼き鳥」です。営んでいるのは「やきとりくん」の愛称で親しまれている男性。小谷に移住し、農業と焼き鳥の二刀流で奮闘しています。
モクモクと上がる煙の中、焼き鳥ができあがっていきます。
(記者リポート)
「おいしそうな焼き鳥が焼かれているのは、店舗ではなく民家の前。どこでも焼きたての焼き鳥が食べられる『出張焼き鳥販売』です」
新潟県との境にある小谷村北小谷。田植えの合間のランチタイムに、住民が焼き鳥を味わっていました。
住民:
「焼きたてで柔らかくておいしいです」
「(みんな、何て呼んでいる?)やきとりくん」
「やきとりくんが出張でここまで回って来てくれて、すごいうれしいです」
「やきとりくん」こと井上聡也さん(40)。2020年からこの「出張焼き鳥販売」をしています。
井上聡也さん:
「その場で焼いて、すぐに食べてもらえるので、一番いい状態で食べてもらえる」
大阪市の出身の井上さん。今、小谷村で農業と焼き鳥の二刀流の生活を送っています。
井上聡也さん:
「僕は大阪市の家とか工場しか周りにないところで生まれ育ったので、田んぼとか畑とかそういう仕事に興味があって」
大学卒業後、すぐに農業の道に進もうと思い、「就農」の説明会に参加すると…
井上聡也さん:
「農業って経営だから、そんな簡単にできるものじゃないって言われて」
ならば、まず「経営」を学ぼうと思い立った井上さん。たまたま見つけた名古屋にある、大手焼き鳥店の店長職の求人に応募しました。ここで井上さんは、経営のノウハウを学ぶだけなく「技」も身に付けました。
井上聡也さん:
「自分に向いていたみたいで、社内で大会があったんですよ、焼く技術を競う。そこで1000人くらい出場し、(10人がいける)全国大会まで行った」
店長を9年務めた後、いよいよ農業を始めようと移住先を探しました。
井上聡也さん:
「農業するなら長野県でやりたいなって思っていて、スキー場で店を出して、冬は焼き鳥屋さん、夏は農業っていう生活もいいかな」
タイミングよくスキー場もある小谷村で「地域おこし協力隊」の募集があり、隊員となって移住しました。
井上聡也さん:
「最初のあいさつで『前の仕事で焼き鳥やってました、得意です』って言ったら『やきとりくん』って名付けていただきまして、(任期の)3年を使って地域にも溶け込めるかなと」
協力隊員として名物の「雪中キャベツ」や「おたり野豚」などを育てる傍ら、地域の祭りやイベントで焼き鳥を販売。任期終了後、出張焼き鳥販売「やきとりくん」をスタートさせました。
井上聡也さん:
「個人の家とかにも呼ばれることがあったんですよね。他の所だったら受け入れられてなかった可能性もあるけど、快く受け入れてくれた」
5月22日、井上さんが向かったのは、山あいにある水田。
井上聡也さん:
「田植えです。年に1回、非常に大切な日です」
井上さんは延べ12アールの水田で米を栽培。農薬を使わない合鴨農法にチャレンジしています。野菜も栽培しています。
井上聡也さん:
「今、3枚の畑使わせてもらってるんですけど、去年は雪中キャベツ。今はネギが2万本くらい、2週間前に植えました。このネギは得意の『ねぎま』に使う」
他にトマトやオクラ、アスパラなどの野菜に、おたり野豚も…。「自分が焼く具材はできる限り自分で育てる」それが井上さんのこだわりです。
井上聡也さん:
「そこでしっかり評価をいただけるので『このネギ甘くておいしいね』と言ってもらえる。すごい、やりがいはあります」
井上さん自慢の焼き鳥は毎週水曜日に「小谷名産館」の前で販売しています。うまく焼くコツは…
井上聡也さん:
「炭を火力をマックスにして、できるだけ強火で素早く焼くことです。焼きすぎないように、焼きすぎるとぱさぱさしちゃうので」
自慢のタレは…
井上聡也さん:
「継ぎ足し継ぎ足しの『秘伝のタレ』。火事になったら、抱えて逃げる(笑)」
徐々にファンが増え、500本用意する串は毎週、ほぼ完売します。
客:
「(よく来る?)毎週!すごくおいしいの!どこより負けない。いいですよね、田舎にこんなのできると」
「(デイケア施設の)帰りに寄るの。都合いいよ、私ら高齢者には、私もう90歳だよ」
「これから孫と一緒に食べます。(どんな存在?)なくてはならない存在になってます」
営業の合間にも…
常連客:
「ちょっと相談なんですけど28日って、予定ありますか?」
常連客から出張の依頼です。
常連客:
「田植えの時、焼き鳥を焼いてくれないかと(お願いしたい)」
28日の出張当日。依頼をした常連客の家の水田では、親族と知人総出の田植えの日です。
依頼した常連客:
「田植えで、親戚とかいっぱい来ているので、やきとりくんを呼んで楽しく焼き鳥をつまもうと」
みんなが田植えをする間、井上さんは焼き鳥の準備。
お待ちかねのランチタイム―
井上聡也さん:
「できましたー!ささみでーす」
食べた人:
「お、柔らかい」
「焼きたてはおいしい」
井上聡也さん:
「やっぱ、持ち帰りとは違うでしょ?」
食べた人:
「違うね、全然」
「買ってきて冷えているものを温めるんじゃなくて、そこで焼いてくれているので、柔らかい」
「ネギ、おいしいです。すごく良いことだと思います。小谷の食材で、すぐおいしく作ってくれて」
依頼した常連客:
「外で焼き鳥、食べられて皆さん喜んでますし、またこういう機会にお願いしたいと思います」
小谷で実現できた農業と焼き鳥の二刀流生活。受け入れてくれた地域の人たちのため、井上さんの奮闘は続きます。
井上聡也さん:
「僕はこの村が好きなので、すごい感謝しているし、恩返しをしたいと思っています。いろんな人に呼んでもらい、僕の焼き鳥を食べてくれる人が一人でも増えてくれるよう頑張りたい」
モクモクと上がる煙の中、焼き鳥ができあがっていきます。
(記者リポート)
「おいしそうな焼き鳥が焼かれているのは、店舗ではなく民家の前。どこでも焼きたての焼き鳥が食べられる『出張焼き鳥販売』です」
新潟県との境にある小谷村北小谷。田植えの合間のランチタイムに、住民が焼き鳥を味わっていました。
住民:
「焼きたてで柔らかくておいしいです」
「(みんな、何て呼んでいる?)やきとりくん」
「やきとりくんが出張でここまで回って来てくれて、すごいうれしいです」
「やきとりくん」こと井上聡也さん(40)。2020年からこの「出張焼き鳥販売」をしています。
井上聡也さん:
「その場で焼いて、すぐに食べてもらえるので、一番いい状態で食べてもらえる」
大阪市の出身の井上さん。今、小谷村で農業と焼き鳥の二刀流の生活を送っています。
井上聡也さん:
「僕は大阪市の家とか工場しか周りにないところで生まれ育ったので、田んぼとか畑とかそういう仕事に興味があって」
大学卒業後、すぐに農業の道に進もうと思い、「就農」の説明会に参加すると…
井上聡也さん:
「農業って経営だから、そんな簡単にできるものじゃないって言われて」
ならば、まず「経営」を学ぼうと思い立った井上さん。たまたま見つけた名古屋にある、大手焼き鳥店の店長職の求人に応募しました。ここで井上さんは、経営のノウハウを学ぶだけなく「技」も身に付けました。
井上聡也さん:
「自分に向いていたみたいで、社内で大会があったんですよ、焼く技術を競う。そこで1000人くらい出場し、(10人がいける)全国大会まで行った」
店長を9年務めた後、いよいよ農業を始めようと移住先を探しました。
井上聡也さん:
「農業するなら長野県でやりたいなって思っていて、スキー場で店を出して、冬は焼き鳥屋さん、夏は農業っていう生活もいいかな」
タイミングよくスキー場もある小谷村で「地域おこし協力隊」の募集があり、隊員となって移住しました。
井上聡也さん:
「最初のあいさつで『前の仕事で焼き鳥やってました、得意です』って言ったら『やきとりくん』って名付けていただきまして、(任期の)3年を使って地域にも溶け込めるかなと」
協力隊員として名物の「雪中キャベツ」や「おたり野豚」などを育てる傍ら、地域の祭りやイベントで焼き鳥を販売。任期終了後、出張焼き鳥販売「やきとりくん」をスタートさせました。
井上聡也さん:
「個人の家とかにも呼ばれることがあったんですよね。他の所だったら受け入れられてなかった可能性もあるけど、快く受け入れてくれた」
5月22日、井上さんが向かったのは、山あいにある水田。
井上聡也さん:
「田植えです。年に1回、非常に大切な日です」
井上さんは延べ12アールの水田で米を栽培。農薬を使わない合鴨農法にチャレンジしています。野菜も栽培しています。
井上聡也さん:
「今、3枚の畑使わせてもらってるんですけど、去年は雪中キャベツ。今はネギが2万本くらい、2週間前に植えました。このネギは得意の『ねぎま』に使う」
他にトマトやオクラ、アスパラなどの野菜に、おたり野豚も…。「自分が焼く具材はできる限り自分で育てる」それが井上さんのこだわりです。
井上聡也さん:
「そこでしっかり評価をいただけるので『このネギ甘くておいしいね』と言ってもらえる。すごい、やりがいはあります」
井上さん自慢の焼き鳥は毎週水曜日に「小谷名産館」の前で販売しています。うまく焼くコツは…
井上聡也さん:
「炭を火力をマックスにして、できるだけ強火で素早く焼くことです。焼きすぎないように、焼きすぎるとぱさぱさしちゃうので」
自慢のタレは…
井上聡也さん:
「継ぎ足し継ぎ足しの『秘伝のタレ』。火事になったら、抱えて逃げる(笑)」
徐々にファンが増え、500本用意する串は毎週、ほぼ完売します。
客:
「(よく来る?)毎週!すごくおいしいの!どこより負けない。いいですよね、田舎にこんなのできると」
「(デイケア施設の)帰りに寄るの。都合いいよ、私ら高齢者には、私もう90歳だよ」
「これから孫と一緒に食べます。(どんな存在?)なくてはならない存在になってます」
営業の合間にも…
常連客:
「ちょっと相談なんですけど28日って、予定ありますか?」
常連客から出張の依頼です。
常連客:
「田植えの時、焼き鳥を焼いてくれないかと(お願いしたい)」
28日の出張当日。依頼をした常連客の家の水田では、親族と知人総出の田植えの日です。
依頼した常連客:
「田植えで、親戚とかいっぱい来ているので、やきとりくんを呼んで楽しく焼き鳥をつまもうと」
みんなが田植えをする間、井上さんは焼き鳥の準備。
お待ちかねのランチタイム―
井上聡也さん:
「できましたー!ささみでーす」
食べた人:
「お、柔らかい」
「焼きたてはおいしい」
井上聡也さん:
「やっぱ、持ち帰りとは違うでしょ?」
食べた人:
「違うね、全然」
「買ってきて冷えているものを温めるんじゃなくて、そこで焼いてくれているので、柔らかい」
「ネギ、おいしいです。すごく良いことだと思います。小谷の食材で、すぐおいしく作ってくれて」
依頼した常連客:
「外で焼き鳥、食べられて皆さん喜んでますし、またこういう機会にお願いしたいと思います」
小谷で実現できた農業と焼き鳥の二刀流生活。受け入れてくれた地域の人たちのため、井上さんの奮闘は続きます。
井上聡也さん:
「僕はこの村が好きなので、すごい感謝しているし、恩返しをしたいと思っています。いろんな人に呼んでもらい、僕の焼き鳥を食べてくれる人が一人でも増えてくれるよう頑張りたい」