YouTube X Instagram

「自分には向いてない」と悩み…週刊新潮の表紙絵を描いて28年 成瀬政博さん(78)「描き続けることが次の作品を生み出す」 生涯現役が目標「今、一番幸せ」

画家・成瀬さんが描く「週刊新潮」の表紙絵

特集は、週刊誌の表紙絵を描く画家です。長野県松川村の男性は「週刊新潮」の表紙絵を描いて、2025年で28年を迎えました。男性は今、78歳。生涯現役を目標に描き続けています。

■週刊新潮の表紙を毎回描く画家

「画廊 Banana Moon」で開催中の個展「空気頭」

100号キャンバスに描かれた大きな絵画。特徴的なデザインやタッチの作品が並んでいます。描いたのは、松川村の画家・成瀬政博さん(78)です。

成瀬政博さん(78):
「頭の中に何かイメージがあり描いているわけじゃない。描きながら絵になっていく」

安曇野市にある「画廊 Banana Moon」。4月4日から成瀬さんの個展「空気頭」が開かれています。

成瀬政博さん:
「『空気頭』というのは、ある作家の小説の題名なんですけど、絵ができあがって、自分の中に、こういう感覚があるんだろうなというのを表現することで、知るというか」

成瀬さんが描いた「週刊新潮」の表紙絵

これまでさまざまな絵を描いてきた成瀬さん。実は、ある週刊誌の表紙も担当しています。

4月17日号の「週刊新潮」。(4月10日発売)

赤い服を着た人物が小舟をこいで、都市部へ向かう不思議な様子が描かれています。

週刊新潮の表紙を毎回描いているのが成瀬さんです。

成瀬さん:
「そのままの風景じゃなくて、そこに一つのファンタジーなり、現実離れを狙っている。現実そのものではないものを、この表紙には求められているから」

■アトリエは自宅の一室

成瀬さんのアトリエ

アトリエは自宅の一室。

表紙絵は、あらかじめ構成を決めて描き出します。

下書きはせず、迷いなく絵筆を進めます。

成瀬さん:
「思いつきですね、あまり考えとらんね。絵としてのバランスなり、調和がとれたらいいかというところかね」

■美大の受験には失敗

成瀬政博さん(78)

成瀬さんは大阪府出身。4人きょうだいの末っ子として生まれました。幼いころから絵を描くことが好きで美術大学を目指しましたが、受験に失敗。大阪外国語大学(当時)に進学しました。

大学を出てからは家庭教師や新聞配達などで生活を送りましたが、父の勧めで裁判所の職員として働き始めます。

成瀬さん:
「裁判所で守衛をしてた父親が退職して、僕のそういう暮らしを見ていて、『給料は安いけど、仕事は楽だから本は読めるぞ』と、それに引かれて裁判所に入ったという感じ」

裁判所に勤めながら絵本や詩集なども出版していましたが、36歳の時、退職を決意。9年半勤めた裁判所を辞め、画家の道へ本格的に進むことにしたのです。

成瀬さん:
「何か表現したかったんでしょうね、絵であれ、文章であれ、その気持ちが高じて。何が自分に才能あるのだろうと、絵であればもしかしたらと思い、辞めて絵を描き出した」

  • facebook
  • twitter
  • LINE
長野放送ニュース

あなたにおすすめ